鳥類保護委員会報告

日時: 2006年9月15日 16:00〜18:00

場所: 東北大学農学部1 番講義室

出席者:

石田 健,尾崎清明(委員長),唐沢孝一,呉地正行,佐藤重穂,須川 恒(副委員長),関 伸一,中村 司,早矢仕有子(鳥類保護委員12 名中9 名出席),金井 裕(話題提供者として参加)

議題:

1. 外来種問題

 2005 年7 月に施行された「特定外来生物による生態系等に係わる被害の防止に関する法律」について,昨年度委員会,および昨年度大会で開催された外来種鳥類の自由集会の合意事項として,現在外来種の定義に該当しない迷行記録のある種についても,明らかに人為的に持ち込まれた者について外来種として取り扱うことなど,いくつかの課題が明らかになっているので,主な3 つの課題について鳥類保護委員会から環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室宛に「外来種鳥類についての留意事項」の申し入れを行う.(10 月2 日送付済み)

2. 大会決議のその後の経過

2-1.1999 年大会決議(やんばるの森ヘリパッド)
 2006 年3 月31 日に那覇防衛施設局から「北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業(仮称)に係る環境影響評価図書案」の開示を受けた.これに基いて議論した結果を,ホームページに公表されていた概要に対する鳥類保護委員会の意見書(3 月24 日付け提出)の補足意見として,新たに送付することとする.(10 月2 日付,郵送済み)
2-2.2004 年大会決議(渥美ヘリ訓練場要望書)
 2004 年度の大会決議「愛知県渥美半島での自衛隊ヘリコプター離着陸訓練場計画の再検討を求める要望書」について,決議後の経過を,提案者の大羽康利会員より報告を受けた.
 陸上自衛隊航空学校長は「地域住民の理解が得られた」とする田原市長と2005 年9 月に「覚書」を結び,同年10 月1 日より大山に「陸上自衛隊豊川駐屯地訓練場」が設置された.防衛庁は2007 年に大山周辺での「鳥類の生息調査」を行うことを明らかにし,現在までに離着陸を伴うヘリコプター訓練は行われていない.2006 年7 月,愛知県知事も国定公園管理者としての立場から「鳥類の生息調査後,科学的で開かれた話し合いを自然関係者が求めていることを防衛庁に伝える」と約束をした.しかしながら,渥美山塊への自衛隊ヘリコプターの飛来が2006 年の猛禽類繁殖期になってからも数回目撃されており,2007 年の「鳥類の生息調査」が科学的なものと言えるかどうか,危惧される事態となっている.
 なお,大羽会員らは2005 年以降も引き続き渥美山塊の鳥類調査を行っており,これらの内容を含む自由集会を2006 年度大会で開催した.

3. 国および地方版レッドデータブックにともなう課題

 昨年の委員会後,各都道府県の地方版RDBの作成・活用の経過が一覧できる情報の集約を学会員の協力で進めている.この資料と,新たなRDBの結果を委員間で検討し,国および地方版RDBが明らかにしている数多くの保護上の問題点を整理して把握することに努める.また,現在改訂作業中の国のRDBに関して,判定基準の公表,情報不足項目についての積極的調査実施を促す,日本特産種に考慮すべきなどの意見があった.

4. 風力発電に関する対応について

 発電所の建設については,鳥類への影響などを考慮して,法律に基づいたアセスメントを実施することが今後必要と思われる.特に渡りルートや繁殖等への影響を避ける立地面での配慮に加え, 鳥類の衝突を避ける技術的努力が必要である.この問題については,他団体などと協力しあって,さらに情報収集に努めることとする.

5. 各委員の保護活動にかかわる情報の紹介

 各委員が把握しているあるいは携わっている鳥類保護に関わる活動について,相互に情報を交換した.

(鳥類保護委員長)