2007年度日本鳥学会研究奨励賞選考報告

 本年度の研究奨励賞には3名の応募があった.研究奨励賞選考小委員会の意見に基づき基金運営委員会で慎重に審議した結果,下記の受賞者を選定した.

受賞者:森 さやか(東京大学大学院農学生命科学研究科)

研究タイトル:繁殖集団の個体移出入となわばり環境評価によるアカゲラ個体群動態決定要因の解明

選定理由:本課題は,分断化された森林に生息するアカゲラの個体群動態のメカニズムを,個体の質,なわばり環境評価,およびソースとの関係を考慮することで解明することを目的としている.個体群動態研究においては,個体分布やハビタット構造の空間的パターンを把握することが重要で,このようなアプローチでの鳥類の個体群動態の研究は,希少種の存続確率予測など希少種保全において活用可能であるという実用的側面から研究の意義は大きく,将来の発展も期待される.これまでの調査で準備状況は整っており,進めるべき研究計画も明確で,具体的な仮説,基盤となるモデル,予測が示されており,実現性がある.研究の意義は大きく,成果も期待できると考え,受賞者として選定した.

(基金運営委員会)