日本鳥学会

日本鳥学会100周年記念事業

日本鳥学会創立100周年を迎えて

会長 江崎保男

日本鳥学会が100周年を迎えた。50周年時つまり1962年(昭和37年)に会頭であった黒田長禮(ながみち)によれば、その立ち上げは明治45年5月3日のことであり、東京神田の学士会で夕刻会合をもち、初代会頭の飯島魁(いさお)・黒田長禮・内田清之介らのそうそうたる面々が集まって本学会ができたというのである。そしてその時からさらに50年の歳月が流れた。 いまや日本鳥学会の会員は1000人を超えるにいたった。そして科学としての日本の鳥学は格段の進歩をみせた。むろんこの進歩は本学会を支えてきた多くの会員たちの努力の賜物以外の何物でもない。また、現在では鳥学会の会員のなかに、全国各地で大学教員のポストを占めるものが少なからず認められるようになった。最高学府たる大学において鳥類の研究がさかんに行なわれること、これこそが本学会を創始した上記の人々の悲願ではなかったか、そんな風に思うのである。その一方、鳥類の研究を本職としない、いわゆるアマチュアの人たちの活躍にも目をひくものがある。この人たちの時間を超えた不断の努力があってこそ、本学会の進展があったことも明確な事実であり、これこそが日本鳥学会の誇るべきことではないか、そんな風にも思うのである。

21世紀にはいり、地球環境問題の克服という人類の危機を目の当たりにして、今必要とされているのは、科学的・理性的な戦略的発想にたった環境と社会の目標設定であり、これに向かって邁進することであるが、それを支えるのは人と人のつながり・連携である。この点において日本鳥学会という組織は、その歴史と伝統において、「良いものは、相手が誰であろうと良いと言う」そんな体質をしっかりと身につけていると思う。100周年にあたって、今後とも学会内部はもちろんのこと、国内外で上質な競争が行なわれ、互いを高めあっていく、そのような日本鳥学会であることを切に望むものである。

さて、本記念号はこれまでの100年を振りかえり、今後の学会の発展を真剣に考える、その契機となるよう企画されたものである。執筆者諸氏にはご無理を申しあげたこともあるかと推測するが、数十年後にこの記念号が大きな節目を象徴する1冊として光り輝いていることを期待したい。
(日本鳥学会誌100周年記念特別号巻頭言より)

日本鳥学会は、2012年に100周年を迎え、以下の3つの記念事業を実施しました。

  1. 記念式典・記念講演・記念シンポジウム 9月16日(日)東京大学安田講堂
  2. 記念展示
    1. (1) 日本鳥学会の百年  8月17日~9月21日 東京大学総合研究博物館(本郷本館)
    2. (2) 日本鳥学会100周年記念「鳥類の多様性~日本の鳥類研究の歴史と成果~」 10月6日~12月9日 国立科学博物館(上野本館)
  3. 記念出版
    1. 日本鳥学会誌100周年記念特別号「日本鳥学会100年の歴史」
      (日本鳥学会発行,会員配布.購入は事務連絡先へ)PDF版はこちら。
    2. 日本鳥学会100周年記念「鳥学の100年-鳥に魅せられた人々」
      井田徹治著,平凡社刊 2500円(税抜)
    3. 日本鳥類目録(改訂,第7版)
      日本鳥学会発行(9月15日刊行)購入は事務連絡先へ.プレスリリースはこちら

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