日本鳥学会2001年度大会の講演要旨 |
●A210 サギ類コロニーの分布と種構成−茨城県と滋賀県の比較
○藤岡正博・吉田保志子(中央農研)・徳永幸彦(筑波大)
茨城県中南部(栃木県・埼玉県・千葉県の一部含む)と滋賀県においてサギ類のコロニーを各々2000年と2001年に調査した。両調査地とも広い平地水田があり、田植えは4月下旬から5月上旬に行われる等、水田環境は類似している。以下の手順で調査した。1)茨城ではセスナ機によって、滋賀では自動車によって、調査地内の全域を回ってコロニーを探索した。2)セスナ機またはヘリコプターによりコロニー上空約150m前後から撮影した写真上でシラサギ類(4種区別せず)とアオサギ(滋賀のみ)を数えた。3)各コロニーにつき2カ所以上で日中に各30分間以上サギ類の出入りを種別に数えた。4)コロニーでの出入り個体における種別比率と航空写真によるシラサギ類合計数から種別個体数を推定した。以下の数値は暫定値である。
【コロニーの分布】
茨城で19カ所、滋賀で14カ所のコロニーが発見された。面積当たりの全種合計個体数は両調査地でほぼ同じであったが、1,000羽を越える大規模なコロニーが茨城には9カ所あったのに対して、滋賀では1カ所しかなかった。
【種構成】
茨城では10ペア以上アオサギがいたコロニーは1カ所だけであったが、滋賀では14カ所中7カ所がアオサギのみのコロニーであり、さらにシラサギ類の繁殖する残り7カ所においてもアオサギが30ペア以上いると推定された。総個体数に占めるアオサギの割合も、茨城では約4%にすぎないが、滋賀では約4割に及んだ(図)。一方、ゴイサギとチュウサギの比率は茨城で滋賀より数倍高かった(図)。