鳥類保護委員会報告

日時: 2005年9月15日 15:00〜18:00

場所: 信州大学理学部5号教室

出席者:

石田健, 尾崎清明, 唐沢孝一, 呉地正行, 佐藤重穂, 須川恒, 関伸一, 中村 司, 早矢仕有子

議題:

1. 外来種問題

2005年7月に施行された「特定外来生物による生態系等に係わる被害の防止に関する法律」の運用について,日本野鳥の会自然保護室金井裕氏にも出席いただき説明を受けた.現在,特定外来生物に指定されている鳥類種はわずか4 種であるが,未指定種の中にも生態系への影響が危惧される種が多数存在するなど,未だ改善すべき点は多い.今後,外来鳥類による生態系への影響評価,偶来種として日本産鳥類目録に掲載されているため特定外来生物に指定されていないコブハクチョウなどへの対応,鳥類標識調査時における外来鳥類の取り扱い方法,特定外来生物の防除等,山積する課題に対して,保護委員会がいかに関わるべきか検討した.今後も有志によるワーキンググループや日本産鳥類記録委員会と連携をとり,論議を重ねることになった.

2. 2004年大会決議(渥美ヘリ訓練場要望書)のその後の経過

2004年度の大会で決議された「愛知県渥美半島での自衛隊ヘリコプター離着陸訓練場計画の再検討を求める要望書」について,決議後の経過を,提案者の大羽康利会員による資料に基づき確認した.防衛庁および渥美町は鳥学会等からの要望に対して誠意ある対応をみせておらず,今後,大羽会員を保護委員会が支援し,学会誌等へ意見を発していく必要がある.

3. 鳥インフルエンザ,フェンチオンへの学会対応

2005年4月20日,日本鳥学会評議員および鳥類保護委員一同から,「ウエストナイル熱予防のための蚊の駆除対策に伴うフェンチオンの使用回避についての意見書」が厚生労働大臣および環境大臣宛に提出された.その後2005年7月,厚生労働省はウエストナイル熱対策としてのフェンチオン使用を回避する旨通達した.今後も保護委員会は関心を持って経緯を見守ることとする. 鳥インフルエンザに関しては,学会として「日本における鳥インフルエンザ問題の現状と課題」をHP にも公開しているが,周辺国の鳥インフルエンザへの対応は不十分な点が多く,正確な知見を提供するためにも英訳して発信することが必要だとの提案があった.

4. 国および地方版レッドデータブックにともなう課題

保護委員会が力をいれて取り組むべき基本的な課題は,国および地方版のレッドデータブックが明らかにしている数多くの保護上の問題点を整理して把握することである.このような問題に対して鳥学会としてどのように有効な対応ができるのか,引き続き議論することとした.

5. 各委員の保護活動にかかわる情報の紹介

各委員が把握しているあるいは携わっている鳥類保護に関わる活動について相互に情報を交換した.

(鳥類保護委員長)