鳥類保護委員会報告

日時:2007年9月21日(金) 15:00〜17:20

場所:熊本大学 研究棟II-1電気講義室

出席者:早矢仕有子,石田健,中村司,尾崎清明(委員長),佐藤重穂,須川恒(副委員長),呉地正行,関伸一

オブザーバー:堀田昌伸,阪口法明,黒川武雄

議題:

 大会案内で、大会決議を提起する場合は1ヶ月前までに保護委員会に案を提出することを会員に連絡している。大会1ヶ月前の時点では会員から大会決議の要請はない。

1. 大会決議のその後の経過
1−1.1999年大会決議(やんばるの森ヘリパッド)
 1999年大会決議後、那覇防衛施設局から示された「北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業(仮称)に係る環境影響評価図書案」に関して、鳥類保護委員会の意見書を2006年3月24日と10月2日に那覇防衛施設局へ提出した。2007年7月3日早朝に工事が着工したことが報じられている。今後は、当委員会が2006年に提出した意見書にそって、特にヤンバルクイナへの直接の影響がどのようなものであるのかを、アセスと研究者などによる基礎調査によって追跡することに関心が移る。最近の情報を検討する。

1−2.2004年大会決議(渥美ヘリ訓練場要望書)
  2004年度の大会決議「愛知県渥美半島での自衛隊ヘリコプター離着陸訓練場計画の再検討を求める要望書」について、決議後の経過を、提案者の大羽康利会員より報告を受けた。
 昨年度報告したように、大羽氏は2006年9月日本鳥学会大会で自由集会「渥美半島・大山での陸上自衛隊ヘリコプター訓練問題を考える」の場を持ち、その内容を鳥学通信(10号)に報告した。
→ http://ornithology.jp/katsudo/Letter/no10/OL10.html
 2007年は防衛省が(株)建設環境研究所に猛禽類調査を委託(調査範囲は大山山頂より半径2kmの内側、対象種はオオタカのみ)し、1月から、月に2日ほどの調査を行い、8月に最終調査が行われた。調査のために訓練をせず、調査終了後の9月以降(10月は渡りの期間として除外されるとのこと)いつからでも訓練が行われる可能性がある。
 大羽氏らは、独自に猛禽類調査を行い、ハチクマ・オオタカが繁殖していることを確認した。この調査の際に陸上自衛隊ヘリコプターによる「離着陸を伴わない飛行」が何度も目撃された。意識的かどうかは不明であるが、結果として営巣妨害活動となっている。
 8月22日自民党国会議員の仲介を得て防衛省との話合いをし、8月29日には愛知県環境部自然環境課と話し合いをした。伊良湖フォーラム(10月7日)の場で、防衛省の委託調査結果を公表することを求め、自然保護団体との複数回の話し合いを防衛省に求めている。 今後、「渥美自然の会」として一般の方へ問題を理解してもらうために渥美・大山観察会を2007年9月30日に予定している。詳細は日本鳥学会ホームページの会員からのお知らせを参照、。
→ http://ornithology.jp/osj/japanese/MemberNewsMain.html#AtsumiOyamaTour 

 この間の経過の詳細は、渥美の自然と保護(No.43)を参照されたい。
→    http://www.amitaj.or.jp/‾irago-o/shizenntohogo43-2.pdf

2.国および地方版レッドデータブックにともなう課題
  国および地方単位に生物多様性の保全を計る上で国および地方版のレッドデータブック作成の役割は大きい。レッドデータブックの考え方を生かす上で、客観的な情報を国および地方でシステマティックに収集すること、できるだけ客観的に判定基準を示すこと、さらに国および地方で進められている希少種を計画的に保護する動きを理解・協力することが重要と考え、希少種情報の公開基準なども含めて論議を継続する。

3.風力発電に関する対応について
 戦略的環境アセスメント(SEA)の議論の基礎となる、ハザードマップの作成に向けて、関連団体、個人との情報交換を進め、当委員会の貢献できる面があれば、目録委員会等と連携をとってすすめる。

4.ガン類の種・亜種和名の整理、保護管理上の問題点
1)Branta canadensis の種和名と Branta canadensis leucopareia の亜種和名の整理について
2)Anser fabalis の種和名と Anser fabalis serrirostris の亜種和名の整理について

5.各委員の保護活動にかかわる情報の紹介
 各委員が把握しているあるいは携わっている鳥類保護に関わる活動について相互に情報を交換する。
また,環境省自然環境局生物多様性センターとの情報交換(センターで実施している鳥類及びそれに関連する調査について )を予定している。

6. 保護委員の次期メンバー
 次期メンバーに関して,2名(唐沢孝一,関伸一)の辞任希望があった。そこで,その後任として2名(堀田昌伸,小高信彦)から就任の承諾を得た。したがって評議員会に提出する次期委員のリストは次の12名である。

早矢仕有子,堀田昌伸,石田健,小高信彦,呉地正行,中村司,小野宏治,大迫義人,尾崎清明,佐藤重穂,須川恒,山崎亨

7.委員長・副委員長の選任
 次期委員長・副委員長の選任を予定している。

 

(鳥類保護委員長)