鳥類保護委員会報告

2008年9月12日 15:00〜17:00 立教大学10号館 X302号
委員出席者:早矢仕有子(委員長)、佐藤重穂(副委員長)、堀田昌伸、石田健、
小高信彦、呉地正行、
中村司、大迫義人、尾崎清明、須川恒(敬称略)
   欠席者:小野 宏治、山崎 亨(敬称略)
オブザーバー出席者:山本尚佳、古南幸弘(敬称略)

1.大会決議案
 8月1日に山本尚佳会員より提案された「上関原子力発電所計画に係る希少鳥類保護に関する要望書」に対して、山本氏と連絡をとりながら委員会内で検討をかさねて大会決議案を作成した。委員会にオブザーバーとして出席いただいた山本氏から追加説明を受け、さらに古南幸弘氏((財)日本野鳥の会自然保護室室長)からも情報提供を受けた上で、保護委員会として大会決議案を承認した。
*評議員会で承認され、総会で可決された。

2.生息域外保全に環境省からの意見照会
 環境省自然保護局野生生物課から9月1日付けで日本鳥学会に意見照会があった「環境省における絶滅のおそれのある野生動植物種の生息域外保全に関する取組について」に関して、学会長より保護委員会に提出意見を検討してほしい旨の要望があった。9月末日の提出締め切りまでには委員会内で見解を統一できないので、学会としての意見提出の必要性は認識し、大会後も引き続き委員会内で意見集約に努める。
*保護委員会から評議員会に9月25日に意見案を提出した。

3.大会決議その後

3-1.1999年度決議「やんばるの森の保護」
・2007年の調査で、ヘリパッド移設予定地域は、ヤンバルクイナの分布南限域であるとともに、繁殖地であることが確認されている。
・東村高江区に移設予定のヘリパッド関連工事では、環境影響評価図書の内容に基づき、騒音が鳥類の繁殖に与える影響に配慮して、3月から6月頃までの土木作業は実施されていない。
・2008年7月の工事再開以降、住民の反対運動により本格的な工事着工に至っていない(2008年8月現在)。

3-2.2004年度決議「渥美ヘリ訓練場」
・防衛省が、2007年1〜7月に渥美半島での自衛隊ヘリコプター離着陸訓練場計画地において実施した猛禽類定点調査の結果、3科11種の猛禽類の生息が確認され、オオタカ・サシバ・ハチクマ・ノスリについては繁殖個体が存在すると結論づけられた。
・渥美自然の会(代表 大羽康利氏)の独自調査によると、2007年にはオオタカ・ハチクマの繁殖を確認し、2008年にはオオタカ・サシバ・ハチクマ・ノスリについてディスプレイフライトが観察された。
・2006年および2007年に実施されていた陸上自衛隊ヘリコプターによる「離着陸を伴わない飛行」は、2008年は目撃されていない。
・渥美自然の会は今後予想される防衛省との話し合いにおいて、両者の調査結果を基に猛禽類等への影響についての検討を求める予定である。

4.国および地方版レッドデータブックに伴う課題
国のレッドリストに関わる判定については、個々の研究者が個人の責任において資料を提供し貢献しているのが現状であるが、学会として組織的に関わりを持つべきではないかとの意見が委員会内で提起された。

5.大会決議文案における受付期間の変更
従来、大会決議文案受付に関しては、「遅くとも総会の開かれる1カ月前までに、委員会宛の決議採択依頼状と決議文案を鳥類保護委員長宛に送る」と定めていた。しかし、議題も増加しており、委員会内で十分な審議を経た上で評議員会の事前審議時間を確保するため、提出期限を「総会の開かれる6週間前まで」に前倒しすることを会員に求め周知する。
*評議員会、総会で提案どおり認められた。

(鳥類保護委員長)