鳥類保護委員会報告2010

鳥類保護委員会報告

日時：　　　2010年9月17日　15:00～16:00

場所：　　東邦大学習志野キャンパス理学部Ⅰ号館1308A室

出席者：　早矢仕有子（委員長）・佐藤重穂（副委員長）・石田健・尾崎清明・呉地正行・
　　　　小高信彦・須川恒・武石全慈・中村司

話題提供者：白木彩子

欠席者：大迫義人・高橋満彦

議事
１）総会決議その後の経緯
a) 1999年度決議「やんばるの森の保護」
　米軍基地の一部返還に伴う、東村高江区に移設予定のヘリパッド関連工事では、現在も本格的な土木作業は行われていない(2010年12月22日に工事再開が報じられた)。ヤンバルクイナの個体数は1000羽程度で推移しているが、2010年度の交通事故件数は、9月17日現在で30件を記録し、過去最高となっている（12月13日現在33件）。
　ノグチゲラ分布南限に当たる東村議会は、2010年6月17日に、生息地への無断立ち入り禁止や繁殖を妨害する行為への罰則も盛り込んだ、「ノグチゲラ保護条例」を可決し、条例運用のための規則が検討されている。

b) 2004年度決議「渥美半島ヘリ訓練場」
　大山ヘリ訓練場について、田原市が大山山頂近くに展望台を設置する予算を計上したこと、防衛省は再度の猛禽類調査のための予算を計上していることが報告された。

c) 2008年度決議「上関原子力発電所計画に係わる希少鳥類決議」
・2009年12月28日に、「中国電力株式会社『上関地点カンムリウミスズメ継続調査報告書（平成21年9月）』に対する日本鳥学会鳥類保護委員会の評価」を学会長宛提出。評価に対する中国電力の反応は、今のところ無い。
・日本生態学会自然保護専門委員会および日本ベントス学会自然環境保全委員会と合同で、「瀬戸内海の生物多様性保全のための三学会合同シンポジウム『上関（かみのせき）：瀬戸内海の豊かさが残る最後の場所』」を共催している。2010年9月までに、5回のシンポジウムが開催された。次年度のシンポジウム参加のため、活動予算として5万円を計上することを決定し、総会において承認された。
・2010年2月15日に日本生態学会自然保護専門委員会の立川賢一委員長、日本ベントス学会自然環境保全委員会の逸見泰久委員長と鳥類保護委員会の早矢仕有子委員長の連名で、「上関原子力発電所建設工事の一時中断と生物多様性保全のための適正な調査を求める要望書」を環境大臣および中国電力（株）社長宛に提出した。これは、各学会から再三にわたって慎重な環境影響評価を求める要望書が提出されているにも関わらず、2009年10月に中国電力が上関原発に関わる海面埋め立て工事に着手するためのブイを工事区域へ設置したことを受けて、海面埋め立ての一時中断と適正な調査を求めたものである。

２）風力発電について
　環境省がパブリックコメントを募集している「鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引き」について、会員の白木彩子氏より、手引案では、希少種の生息地であっても発電所の建設が可能と解釈できる、等の問題提起がされた。今後、より具体的な問題点について白木氏らから情報提供を受けると共に、保護委員会としても、手引きの内容についてMLを通して検討することとした。

３）保護委員会のホームページについて
　今後、小高委員を担当者とし、公式情報の更新等を実施する。

４）その他
・COP10後の「生物多様性の10年」について、呉地委員より水田についての取り組みの説明があった。水田においては鳥類が生態系の頂点に位置するため、保護への理解が得られやすく、鳥学会として生物多様性の10年に関わることについて今後、検討することとなった。
・石田委員から、鹿児島市のジャワマングース防除について、胃内容物から鳥類が検出されたこと等が報告された。
・議題として予定していたレッドリスト検討の議題は、事後にMLで報告することになった。
・従来どおりの委員会開催時間の確保が必要、との意見があった。
　
（鳥類保護委員長）