鳥類保護委員会報告2012

鳥類保護委員会報告

日時：2012年9月16日　15:00～17:00

場所：東京大学　農学部Ⅰ号館　第９講義室

出席者：大迫義人（委員長）、高橋満彦（副委員長）、小高信彦（副委員長）、尾崎清明、須川恒、佐藤重穂、武石全慈、白木彩子、出口智宏

欠席者：呉地正行

大迫委員長より、評議委員会報告のための鳥類保護委員会報告資料配付。事前に、委員会報告原稿として各決議に関する最近の情報や、要望書についての情報は、提供済み。

１）「レッドリストの改訂（鳥類）」に関する意見紹介について
日本鳥類学会鳥類保護委員会からの意見に対する鳥類分科会からの回答資料配付。
迷行種についての意見への回答はあったが、それ以外の回答は得られなかった。
レッドリスト改訂について、現時点で大きな問題と考えられる事項については、改訂予定のレッドデータブックの内容に反映されるよう意見を出すべき。

２）特定外来生物防除等推進事業の事業改善に向けた要望書提出
要望書配布。
マングース事業について、これまでの常時雇用による捕獲体制をいったんやめて、報奨金制度に変更するような方針転換は行われていない模様。環境省と沖縄県では、マングースの根絶に向けた次期10年の作業計画が検討されている。
外来ネズミ類については、特定外来種の枠組みではなく、国立公園や国設保護区などの枠組みで対応を検討しているとのこと。
鳥島では、国設鳥獣保護区の枠組みで、ネズミの駆除が予算化された。

３）総会決議後の各要望に対する現況
（１）沖縄島在駐米軍北部訓練場内ヘリパッド移設計画の見直しの要望書（1999年度）
現在、工事が進行しており、地元では反対運動が継続されている。また、オスプレイ配備が懸念されている。ヘリパッド移設と国有林の返還、国立公園化が関連している。ヘリパッドの予定地で、希少なシジミチョウの群生地が見つかった。生物学上も注目されている。
（２）愛知県渥美半島の自衛隊ヘリコプター離着陸訓練場計画の再検討を求める要望書（2004年度）
　春と秋の渡りが非常に重要な場所。まだ、訓練は実施されていない。運用に当たってはヘリパッドの運用時期など地元自然保護団体との話し合いが必要。
（３）上関原子力発電所建設計画に係る希少鳥類保護に関する要望書（2008年度）
佐藤さんよりその後の経過についての資料、日本海鳥グループと太平洋海鳥グループからの要望書コピー配付。
前回大会以降の状況報告。建設予定地について、今年の１０月に中国電力の埋め立て免許を更新せず、失効する。カラスバトの繁殖地が新たに見つかった。宇和島。オオミズナギドリのコロニー。長島の自然を守る会の方が記者発表。
　武石さんより、カンムリウミスズメの調査結果資料配付。スポットライトサーベイ等調査結果を説明。現段階では、上関に雛（幼綿羽）が外部から来ているのか、周辺に繁殖地があるかどうかについては、現段階では判断付かない。

その他
○シジュウカラガンとカナダガンについての資料配付と説明。神奈川県でのカナダガンが有害駆除による捕獲実施される見通し。特定外来種であれば、根絶を目標に作業出来るが、有害駆除の場合、根絶までの作業は難しいのではないか。
○中池見湿地ラムサール登録（2001年度決議）　国設鳥獣保護区を設置し、今年の７月にラムサール登録。
○コウノトリ：豊岡での繁殖状況等資料配付、説明あり。全体で57羽、雛の巣立ち57羽を確認、このうち、14羽が野外第三世代。
京都府にコウノトリが定着し、今年は３羽巣立った。京都府の希少野生動植物条例により、希少種に指定される見通し。
○IBA資料配付
○IUCNの会議において、韓国より水鳥の北東アジアフライウェイの提案があった。
○風力発電所に関する情報を収集し、状況を整理する。白木（2012）北海道におけるオジロワシの風力発電用風車への衝突事故の現状について.保全生態学研究.17:85-96別刷配布。
○委員会ホームページにおいて、石田氏が作ったような大会決議の覚え書きを見られるようにする。ビジュアルで決議の状況が分かる内容が欲しい。決議については決議者からの情報提供に基づいてリンクを張るなどの対応が良いのではとの意見もあり。
　
（鳥類保護委員長）