鳥類保護委員会報告2013

鳥類保護委員会報告

日時：2013年9月14日　13:00～

場所：名城大学共通講義棟　５階　502講義室

出席者：大迫義人（委員長）、尾崎清明、呉地正行、須川恒、佐藤重穂、武石全慈、白木彩子、出口智広、小高信彦

オブザーバー：北村亘（次期からの新規委員。風力発電所関連等アドバイス）、金井裕（野鳥の会、環境省による侵略的外来種リストについて説明）

欠席者：なし

大迫委員長より挨拶、北村さんの紹介、検討事案としてサシバとオオタカのパブリックコメントについての追加について、総会決議要望が無かったことの説明。
配付資料：サシバの保護についての資料。この他の資料は事前にＭＬで配信された資料を各自印刷。

検討事項について

（１）平成２５年度第１回侵略的外来種リスト作成会議、外来種被害防止行動計画策定会議について金井さんより説明。
　愛知目標達成のため、2020年までの侵略的外来種対策の基本計画を決める段階。１０月中に各学会の要望を聞くため、鳥学会にも近々ヒアリングがある予定。年内にパブリックコメント、年度内に行動計画と外来種リストを公表。鳥類については十分検討されていない。鳥学会から要望を出す必要がある。
　外来生物法を作った当時は、野鳥の会金井さん、石田健さんが鳥関係で対応していた。これまで国外由来の外来種が主な対象であったが、新たなリスト、行動計画では国内由来も対象とする。傷病鳥放鳥由来のオオハクチョウ、コクチョウが分散、定着し始めているなど様々な問題があり、提案されているリストは不十分。

◎環境省侵略的外来種リスト（仮称）動物の検討対象種リスト（鳥類）検討作業に対する対応
１）アクションプランについての問題点の整理：金井さん
２－１）ガンカモを例に実際に外来種対策対応をしたときの問題点を整理：呉地さん
２－２）法律的な問題の整理：高橋さん
３）現在提示されているリスト等の問題点検討。各地域での情報収集し、ＭＬに流す。：各委員
４）記録委員会等と連携する。：金井さんより情報提供

～以下、委員会で出された情報意見～
・対策の具体例：四国でソウシチョウ対策。インドクジャク：八重山諸島で根絶を目指している。
・オオカナダガン：富士山から丹沢にかけてのカナダガンの分布拡大。シジュウカラガンとの交雑も危惧される。
・コブハクチョウの状況を把握した方が良い。
・オオハクチョウの傷病鳥が繁殖し始めている。
・ハッカチョウの情報横浜でどうなっているのか？
・リストは自然研の持っている情報から出ている。リスト、情報の精査が必要。
・抜けている問題を指摘し、現在のリスト、そのもととなった情報の精査が必要。
・兵庫県、京都府の外来種ブラックリストについて、大迫さん、須川さんより情報提供。
・ガンカモについては呉地さんから情報提供して頂く。
・提示されたリストは、ちょっと足せば完成するレベルではない。もっときちんと情報を吸い上げないと、まともなリストにならない。
・カナダガンについては、野外から除去する。河口湖は成功。実際に捕獲するとなると、要注意外来種の場合、地元からの被害が出ないと捕獲出来ない。つまり、有害は地元からの要望が必要。全数捕獲はならない。学術捕獲だと、取りすぎたら放せとなる。要注意外来種の場合実際に野外から除去するときの弊害を整理し、改善を求める。
・カナダガンの場合、できるだけ受け入れ先を見つけて殺さないでいいようにしている。
・特定外来種の場合、捕獲して移動するときの制約がある。
・実際の作業をやるときの弊害を整理する必要がある。
・侵略的外来種は根絶を目指すことを方針とする。
・環境省の資料、現況の整理と対策の部分が混在して読みにくい。
・現行の資料にいかに不備があるかを指摘。期間が短すぎる。まず、既存資料をきちんと見直して改めて、情報精査したリストを提出するよう意見すれば良いのではないか。
・外来種についても各種の検討をする委員などを指名し、レッドリストのように対応すべき。各種の情報シートを作るべき。
・保護委員会以外に、記録委員会にも協力を求めてはどうか？７版では６版の記述を踏襲したものが多い。鳥学会の目録レベルの記載の問題も含めて。指摘すべき。
・学会の保護委員会としては、情報収集と役割分担。即答は避け、問題を指摘するということでどうか？

（２）秋田県の風力発電所建設計画について呉地委員より説明。
　八郎潟大潟村干拓地に風力発電所を作るという記事。４０機、最高131mのものが計画されている。日本では最大級の大きさ。パブコメが行われている。
　日本野鳥の会とガンを保護する会で、意見書など出してきた。最初は別々、今は一緒に対応している。秋田県の環境影響評価審議会。主管官庁が経済産業省。経産省から事業者に対して勧告。このままで行くと、勧告に基づいて動く。環境省としては固まった段階でないとコメント出来ないとのことだが、そうなってしまうと動かせない。今回は、計画初期段階で分かっている。本来、ハザードマップがあれば、風力発電を作ってはいけないはずの場所である。IBAのサイトにもなっている。数年先にはラムサールを目指している。ガンカモだけではなく、冬にはオオワシ、オジロワシが越冬し、チュウヒが営巣している。どこかに場所を動かせば良いという問題ではなく、大潟村に風力発電所を作ること自体が問題な行為。事業者も撤退のような話はしていないが、節目ごとに、事業者側から呉地さんらへ説明がある。
　基本的に大潟村で作るのをやめるという話は出ていない。場所をずらしたり数を減らしたりで対応出来ないかという問題。

◎保護委員会としての今後の対応
１）保護委員会として要望書を出す方向で検討
２）要望書の素案の作成：呉地委員、委員会として内容検討
３）要望書を出す効果的なタイミング、提出先を検討。：北村新委員のアドバイスを得ながら委員会として検討

～委員会で出された情報、意見～
・６月にオタワで５年に一回のバードライフインターナショナルのコングレスが行われた。風力発電は持続可能な事業なのか？
・今回の業者は、農水から、建設許可はまだとっていない。調査だけの許可の段階。まだ場所も事業規模もかため切れていない。企業もまだ投資をしていないので今の段階で撤退してもらえるように動きたい。
・大潟村、複雑な状況。村として、風車を作りたい（１機、２機）という事業計画はある。
・業者による大規模風力発電と、大潟村の風力発電計画は別個のものである。
・大潟村でシンポジウムを予定。
・大潟村での調査はあるにはあるが、このような事業計画に対応出来るような調査は行われていない。環境省も考えようと言ってはくれているが、ダイレクトに風発のための調査は実施困難。これがカンのねぐら。採食地との間に風車が立地している。毎日往復する場所に風車がある。
・風発の調査はほっとけば、一年しかやらない。
・チュウヒの重要な繁殖地。
・猛禽類の営巣については二期調査が勧告されているので、今後、２年は猶予がありそう。
・鳥類学的に問題が大きい。
・秋田県知事の意見は出た。秋田県知事意見書の経済産業省に送られた勧告はまともなもの。
・個別事項②：八郎潟：IBチュウヒの最大繁殖地
・経済産業省の勧告はアセスを実施する上で注意すべきことを勧告。
・アセス法の改正前に駆け込みで申請されている。
・場所をずらしたり数を減らすなどのテクニカルな問題でどうにかなる以前に、その場所には作ってはいけない重要な場所である。
・事業者以外、村は全て反対。
・電気も基本的に東北電力に買電して。業者としては、大潟村を巻き込みたい。
・委員会として要望書をまとめ、適切なタイミングで出すべきでは。
・大潟村は賛成ではない。県は誘致に熱心。
・今後、様々な業者が入ってくることが予測される。経済産業省の勧告を見る限り、業者としてはやってはいけないという要素は無い。このままでは、建設前提に話が進んでくる。
・次の準備書の段階で、環境省から事業を撤回せよという強い勧告を出してもらえるように動く。そのくらいでないと、事業の撤回ができない。
・一番良いのは、早い段階できちんとしたデータをとって、影響の大きさを公表し、県、環境省の審議員に情報提供する
・２営巣期の調査をきちんと勧告されているなら、猛禽類に関しては１年以上の余裕が出る。
経済産業省の勧告で、猛禽類の調査を２営巣期するよう書かれている。
・用地の買収以前に東北電力は、事業者に対して接続許可をする段階で、アセスメントが始まっていることを科している。
・方向書にも法改正によって環境省から意見を出せるようになった。現段階はその前の段階。
・秋田県は海岸沿いに風力発電をずうっと作るなど力を入れている。一般的には秋田県は風力発電を作っているが、農林水産省の国有地。農地。普通は農地転用の手続きが必要なので、風力発電はできにくいはず。
・農政局から調査の許可はもらっている。
・東北農政局は、勝手に風力発電の計画を立てるな。
・「許可を出す前に、農水に要望書を出す方が良い。
・方向書に基づいて調査をはじめることになる。
・早い段階で、農水省として土地の使用を認めないという動きをしてくれるとありがたい。
・調査の許可がされているので、難しい印象がある。
・要望書の提出先としてを県、経産省、環境省、事業者、農水省、地元大潟村などか。
・大潟村は事業とは別に、村として村有地に風力発電所を作る計画がある。
・村の計画と、事業による大規模計画とは別に考えるべき。

（３）中池見の新幹線建設予定地について呉地委員より説明。
　建設予定地における鳥類の重要性、鳥類リストにノジコが加わることで、ラムサールのクライテリアの二番目に入った。ノジコの有無がラムサールに対する影響力大きい。ノジコにとって影響がありそう。予定地でもノジコの生息地がかかっている。新幹線の予定地が以前よりも影響の大きな場所になった。今の段階でノジコへの影響はありそう。

◎委員会としての対応
ＭＬで今後も検討を続ける。

（４）オオタカとサシバのパブコメについて大迫委員長より説明。
　オオタカ反対が多く、再パブコメが出された。高橋副委員長より、改めて委員会としてパブコメを出す報告で検討してはどうかと提案。

◎委員会としての対応
　オオタカについて：ＭＬでパブコメ意見を検討する。素案の作成：高橋さんを中心に。
サシバについて：締め切り期限が限られているため、個別にパブコメ意見を出すことで対応する。パブコメを出す方は、ＭＬなどへの情報提供。

・委員会として大きな問題、情報共有して進める。
・オオタカについて反対意見が多かった。調査が不十分。おろすことの悪影響が多い。
　
（鳥類保護委員長）