第10回男女共同参画学協会連絡会シンポジウム参加報告
日本鳥学会企画委員会 藤原宏子
男女共同参画学協会連絡会は,今年10周年を迎えました.2002年10月の発足時には加盟学協会:31(正式加盟 18、オブザーバー参加 13)だった連絡会が,2012年10月には,加盟学協会:72(正式加盟 48、オブザーバー参加 24),加盟学協会会員総数:約48万人(女性会員: 約4万人)という大きなネットワークになりました.
シンポジウムは,例年にならい,午前中に3つの分科会,午後に全体会議とポスター発表というプログラム構成でした.具体的なテーマが扱われる分科会では,連絡会発足からしばらくは,子育て支援(保育所問題,学会大会での託児室の設置など)についての議論がなされました.その後,子育て支援についてはひと段落ついたためか,第7回シンポジウム(2009年)以降は,分科会の主なテーマは「女性リーダーの育成」や「若手のキャリア形成」となっています.日本鳥学会でも,2008年に大会時の託児サービスが始まり,2012年度大会でも実行委員会のご努力により,託児室が設置されました.三上修企画委員による問題提起と提言:「鳥学会におけるポスドク問題の現状」(鳥学通信第34号)を受け,女性研究者の問題がポスドク問題と密接に関係していることを考えると,日本鳥学会におけるこれからの男女共同参画活動として,「若手のキャリア形成」は中心的な位置を占めるだろう,と考えました.
これまで10年間の男女共同参画学協会連絡会の活動を振り返る講演を聴き,これまでの活動の特徴は,「アンケート結果というデータを踏まえて,連絡会または各学協会が提言や事業を展開してきたこと」であると思いました.提言の中には,国の事業に反映されたものもあります.男女共同参画学協会連絡会による第3回大規模アンケート(2012年11月—12月)において,日本鳥学会会員104名による回答がありました.アンケート実施後に、日本鳥学会会員の回答を抽出することも可能ですので,アンケート結果を活かして,提言・事業に展開させていく必要性を感じました.
添付資料
第10回男女共同参画学協会連絡会シンポジウム
【日 時】 2012年10月7日(日)
【場 所】 東京慈恵会医科大学 西新橋キャンパス大学一号館
【全体テーマ】 科学・技術における性差
◆プログラム
午前 分科会(9:30〜11:30)
分科会 1 女性リーダーをどのように育てるか? (担当学会:応用物理学会)
分科会 2 男女共同参画の取り組みの成果と今後の展望 (担当学会:日本動物学会)
分科会 3 キャリア形成のためのコツは何か? (担当学会:日本宇宙生物科学会)
ポスター発表(11:30〜13:00)
午後 全体会議(13:00〜18:10)
開会の辞 連絡会委員長 関野祐子(国立医薬品食品衛生研究所)
来賓挨拶
内閣府 男女共同参画局 局長 佐村知子氏
文部科学省 科学技術・学術政策局 基盤政策課 課長 板倉周一郎氏
科学技術振興機構 総括担当理事 川上伸昭氏
日本学術会議 科学者委員会男女共同参画分科会 副委員長 小舘香椎子氏
経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室企画調査官 坂本里和氏
厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 雇用均等政策課長 成田裕紀氏
歓迎の辞 東京慈恵会医科大学 学長 栗原敏(日本生理学会会長)
13:40〜15:25 パネル討論 I:男女共同参画学協会連絡会10周年記念
「男女共同参画の過去・現在・未来—学協会連絡会10年の歩みを振り返って」
1. 出発以前の頃 坂東昌子(NPO知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん)
2. 連絡会発足とその後の10年 小舘香椎子(科学技術振興機構)、栗原和枝(東北大学)
3. 未来に向けて:分科会報告
4. 総合討論
15:40〜17:50 パネル討論 II:「男女の違いと科学・技術」
1. 脳の2つの性‐セックスとジェンダー 貴邑冨久子(横浜市立大学名誉教授)
2. 性差に基づいた医学・医療の考え方 松田昌子(山口大学)
3. 女子が理科を好きになるしかけづくり 磯貝里子(株式会社リバネス)
4. Professionalism and leadership ‐Leaderの条件‐ 平敷淳子(埼玉医科大学名誉教授)
5. 総合討論
17:50〜18:10 各種報告
1. アンケートについて 吉村由美子(自然科学研究機構生理学研究所)
2. 10期活動報告 関野祐子(日本生理学会・国立医薬品食品衛生研究所)
3. 新規加盟学会紹介・挨拶
4. 第11期委員長挨拶 澤田美智子(日本動物学会・産業技術総合研究所)