第８回男女共同参画学協会連絡会シンポジウム参加報告
日本鳥学会企画委員会 藤原宏子
広大な研究所の敷地を会場に向けて歩いている途中に，研究所の託児所「りけんキッズわこう」の横を通りました．保育の問題は，男女共同参画活動の初期から現在に至るまで重要な問題で，過去のシンポジウムでも何度か取り上げられました．研究所内に託児所が整備されているのを見て，男女共同参画活動に関わる身としては，嬉しい気分になりました．
今年のシンポジウムでは，保育関係ではなく，「女性リーダーの育成」が主なテーマとなっていました．保育に関する議論は出尽くしたというところか，男女共同参画活動の新たな方向性を探ろうというところでしょうか．シンポジウムは，例年，午前中に２，３の分科会，午後に全体会議とポスター発表というプログラム構成です．今年も同様のプログラム構成で（文末のプログラムをごらんください），３つの分科会のうち２つは「女性リーダー育成」に関わるものでした．理系研究者全体に占める女性の割合は約1割でしかなく，理系の女性研究者を増やしていくことが目標なのですが，その目標をさらにふくらませ，「リーダーとなる女性研究者」を増やしていこうという熱気があふれていました．印象に残った発言として，「学会で委員などの役職を務めることは，女性がリーダーとして育つために重要だ．学会で委員を任され認められることは，大学・研究所においても評価されることにつながる，と考えられるからだ」というものがありました．私も，女性リーダーとして育っていきたい，と願っている一人ですが，日本鳥学会で企画委員を務めさせていただき，多くを学ばせていただいています．今回のシンポジウムに参加して，女性研究者がリーダーとして育っていくために，学会活動が大切であるという視点を持つことができました．
科学・技術の大きな枠組みをみる立場にある相澤益男先生（総合科学技術会議・議員）の講演で，科学技術の大きな枠組みの中で，「女性研究者支援」はキーワードとして入っている，というお話を伺いました．シンポジウムに参加することで，今年もまた勇気づけられました．
添付資料
第8回男女共同参画学協会連絡会シンポジウム
【日 時】 2010 年10 月7 日（木） 10:00〜17:30
【場 所】 独立行政法人理化学研究所 和光研究所 鈴木梅太郎ホールほか
（埼玉県和光市広沢2-1）
【テーマ】男女共同参画と社会
【主 催】 男女共同参画学協会連絡会
【共 催】 独立行政法人理化学研究所（申請中）
【後 援】 文部科学省，日本学術会議，科学技術振興機構，内閣府男女共同参画局
◆プログラム◆
午前の部（10:00〜11:45）
分科会
Ａ．学会を含むリーダーシップ活動の機会均等【鈴木梅太郎ホール】
世話係：本間美和子（日本分子生物学会･福島県立医科大学）
Ｂ．女性リーダー育成・若手育成【統合支援施設2階大会議室】
世話係：高井まどか（応用物理学会･東京大学）
Ｃ．自分自身のシステムを知る−科学が動かす男女共同参画社会を探る【生物科学研究棟３階大会議室】
世話係：跡見順子（日本宇宙生物学会･東京大学）
富田-横谷香織（日本宇宙生物学会･筑波大学）
午後の部 (13:00〜17:30）
全体会議I（13:00〜14:50）【鈴木梅太郎ホール】
司 会：松尾由賀利氏（日本物理学会・理化学研究所）
13:00 主催者挨拶：栗原和枝氏（高分子学会・東北大学）
来賓挨拶：合田隆史氏（文部科学省 科学技術・学術政策局長）
来賓挨拶：岡島敦子氏（内閣府 男女共同参画局長）
歓迎の辞：大熊健司氏（理化学研究所 横浜研究所所長）
13:30〜14:10 特別講演I
司 会：高原 淳氏（高分子学会・九州大学）
講演者：茅 幸二氏（理化学研究所・次世代スーパーコンピュータ開発実施本部・副本部長）
「予測の時代の科学」
14:10〜14:50 特別講演II
司 会：栗原和枝氏（高分子学会・東北大学）
講演者：相澤益男氏（総合科学技術会議・議員）
「これからの科学・技術と男女共同参画」
ポスターセッション（14:50〜15:50）【生物科学研究棟2・3階ホール】
全体会議II (15:50〜17:30) 【鈴木梅太郎ホール】
司 会：前田瑞夫氏（高分子学会・理化学研究所）
15:50〜17:00 パネルディスカッション「男女共同参画のこれから」
パネリスト：各分科会代表世話人ほか
17:00〜17:30 各種報告
連絡会活動報告：吉江尚子氏（高分子学会・東京大学）
新規加盟学会紹介：新規加盟学会代表者
次期連絡会委員長挨拶
閉会の辞：高原 淳氏（高分子学会・九州大学）
懇親会 (18:00〜20:00) 【広沢クラブ】
司 会：中山榮子氏（日本女性科学者の会・昭和女子大学）