目録編集委員会報告(2009年)

目録編集委員会は、2012年の日本鳥学会100周年を機に、「日本鳥類目録第7版」を出版する目的で2008年9月14日に立ち上げられた。委員は、池長裕史、川上和人、西海功、平岡考、柳澤紀夫、山崎剛史、綿貫豊の7名。

2009年9月の鳥学会函館大会時に、約1年間の検討結果をパネル展示で公表した。

1. 「日本鳥類目録第7版」の作成にあたる分類体系の見直し
 鳥類の分類学的研究は、主として分子系統学の導入により、ここ十数年の間に爆発的に増加している。
 「第7版」では、十分な裏付けの得られているものについては、最新の研究成果を取り入れ、亜種から目までの全ランクにおいて分類体系を抜本的に見なおしている。

  採用予定の目の配列
カモ 2.キジ 3.アビ 4.カイツブリ 5.ミズナギドリ6.ペリカン 7.コウノトリ 8.タカ 9.ツル 10.チドリ 11.ハト 12.カッコウ 13.フクロウ 14.ヨタカ 15.アマツバメ 16.ブッポウソウ 17.キツツキ 18.スズメ 

2. 記録の更新について
 47都道府県と主要な島嶼部については協力者に依頼して「第6版」に掲載されている記録のリニューアルを進めている。各地のリストを、追加情報を含め、検討している。協力して下さった方々には感謝申し上げる。

3. 検討種および新規掲載種の取扱いについて
 近年は野鳥観察人口の増加と高性能デジタルカメラの普及などにより、詳細な写真を伴なった記録僅少種、迷行種の観察記録が増えている。本委員会では、過去の目録において検討種とされているもの、新たに記録された種・亜種 およそ220種・亜種について検討し、掲載の可否について検討している。

4. 主要査読誌に論文として公表されたものについては、原則掲載予定。

5. 一般出版物の写真などで、同定可能な種については掲載を検討している。

6. 亜種不明であっても、種の同定が確実ならば、掲載を検討している。

7. 目録検討委員会の検討結果報告(川路ら 2008)を踏まえ、以下のカテゴリーに分けて掲載する。
   A 自然分布が確実で、同定に問題がないと判断されたもの
   B 外来種(繁殖記録のある種)
   C 外来種か、在来種か、判定不能の種
     「判定不能」とする基準が必要。
   D 要検討種

8. 最近50年以内の記録がない種・亜種
 完全に除外するのではなく、カテゴリーに一項を設けて、まとめておく。対象となる種は、ミヤコショウビン1889、ハシブトゴイ1889、キタタキ1920、カンムリツクシガモ1822、ヒメノガン1940、シロハラチュウシャクシギ1932、その他。
 こうした方針のもとに、2009年9月以降も、主に分類を担当するクループ、主に記録・分布を担当するグループに分かれて、仕事を進めている。

(目録編集委員長)