日本鳥学会2001年度大会の講演要旨
■■ポスター発表■■
ポスタートーク(*印) :10月6日13:00−14:00 A会場(E30)
ポスター展示コアタイム :10月6日14:00−17:30 P会場(人間・環境学研究科)

●P2* ビデオ録画を用いたクマタカ雌雄の行動特性解析
○中島欣也・中島京也・岡田博和・川越 泰(日本ワシタカ研究センター)


 クマタカ(Spizaetus nipalensis orientalis)の営巣樹の近傍にCCDカメラを2台設置して、巣造り開始時から雛の巣立ちまで(150日間)の全行動を秒単位でのデータを併記して、カメラ1台当たり昼間の1469時間分をVTRに録画し、解析を行った。
 その結果、巣材搬入,抱卵時間,転卵回数,巣内滞在時間,運餌回数,雛への給餌回数などに雌雄の行動が大きく相違することが認められた。
 産卵直後から孵化直前までの抱卵時間は雌の292時間に対し、雄の場合は22時間にすぎなかった。ただし、巣内滞在時間における抱卵時間を比率で比較すると雌雄共に91%であった。
 また、抱卵中の行動も雌が平均して8.5回/日に転卵したが、雄は1.3回/日のみの転卵であった。孵化後から2週間は、雌の巣内滞在時間が1日平均12時間であったが、その後の2週間は1日平均6時間と半減し、雛が自分で摂餌するようになった4週間目からは1日平均2時間半になってしまった.
 営巣谷の入口で記録した気温と湿度のデータと併記して、相関関係を調べてみたが、巣材搬入・転卵回数などのすべての行動に相関関係はなかった。
 雛の成長に伴う羽色や行動の変化も動画で発表する。