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追悼記事

研究組織紹介

海外留学記

連載




追悼記事


浦野さん、やすらかに

上田恵介 (立教大・理・生命理学)

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農水省農業研究センター(現中央農研)鳥獣害研究室にて.
 浦野栄一郎さんが、2008 年 10 月 29 日、千葉のアパートで死去されました。死因は急性心不全だったそうです。通夜は 11 月 12 日、告別式は 11 月 13 日に執り行われました。私は葬儀には出ませんでしたが、鳥学会で彼を知っていた多くの方が、遠方からも参列されたと聞いています。

 浦野さんは大阪市大の私の後輩です。金沢大学から、大阪市大動物社会研究室に来て、鳥類の配偶システム研究に興味を持ち、山岸哲さんのもとで、河北潟や青森のオオヨシキリの一夫多妻の研究で、いい論文を書いていました。学位を取得後はつくばの農研センター鳥害研に勤務し、藤岡正博さんらといっしょに鳥害の研究をされていました。その後、鳥害研をやめられ、山岸さんのお世話で京都大学、山階鳥研に勤められていました。その間、兵庫の小林桂助コレクションの整理や、全国の高校の理科室に保存されている鳥の剥製の調査などをされていました。

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大阪市大の院生時代、1986年文部省特定研究「生物の社会構造と適応戦略」のサテライトシンポジウムにて(信大志賀自然教育研究施設).後列右から 3 人目が浦野博士(列は右から山岸哲さん、J. R. Krebs氏、J. L. Brown氏、橘川次郎氏).撮影者不明(藤岡正博氏提供).
 鳥学会の大会やシンポジウムでは、いつも前の方に座って、F さんや E さんとともに活発に、鋭い質問をしているのを覚えておられる方も多いでしょう。大阪市大にいたとき、彼と一緒だったので、ゼミでの発表に対する彼の質問や、私の書いた論文に対する的確なコメントにはいつも助けられていました。ツメの甘い(と言われる)私にとって、浦野君は頼もしくもコワイ“後輩”でした。私同様、彼の薫陶を受けた若い方々も多いと思います。

 今年の 9 月に立教大学で開催された鳥学会大会の初日に、受付で顔を合わせたのが彼と会った最後でした。

 立教大学の私の同僚の数学の先生が浦野さんと高校の同級生でした。彼女から彼の高校時代のことをいろいろ聞く機会がありましたが、高校時代から並みの鳥好きではなかったようです。葬儀に参列した高校時代の友人は「彼は鳥になった」と言っていたそうです。

 冥福を祈りたいと思います。


受付日2008.12.17

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浦野栄一郎博士の想い出

橋口大介((株)野生生物保全研究所)

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昭和 52 年 7月 白山にて.
 浦野栄一郎さんの訃報に接して、大きなショックを受けました。50 才そこそこの若さの、何の予兆もない中での、突然の訃報でした。約10年前、同じように 40 才の若さで急逝した池田善英さん以来の衝撃です。思えば池田さんの追悼文を浦野さんが書いていましたが、その浦野さんの追悼文を私が書くことになろうとは...。

 浦野さんの経歴をご紹介したいと思いますが、その前に、私自身の自己紹介を簡単にしておこうと思います。私は、大阪市立大学出身で、教養課程の途中に山岸哲先生が赴任されて来られました。弟子の第 1 号といえるかもしれませんが、できの悪い私は、大学院の入試に失敗し、京都嵐山の野猿公園に 2 年程勤めた後、金沢大学大学院に入りました。そこで浦野さんと出会ったのです。当時、鳥を研究テーマにしている院生は、浦野さんと上述の池田さんと私の 3 名でした。そのうち、私より若い 2 人が急逝し、私だけが残ってしまったかたちで、寂しい限りです。

 浦野さんは、中学 2 年の時から鳥見をはじめたそうです。「一番感激した鳥との出会いは?」と聞いたとき、「一番かどうかわからんが(この辺の言い方が浦野さんらしい)東京湾で初めてミサゴを見た時は感激したな」と言っていたそうです。「一番好きな鳥は?」に対しては「一番かどうか分からんが、オオソリハシシギは好きやね」でした。オオマシコとオオワシを見ることに憧れていましたが、おそらくその夢はかなわないままだったと思います。

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金沢大学時代の同級生達と.
 18 才で家を出て、金沢大学に入学したのですが、10 才年下の弟さんはまだ小学生の時だったそうで、学友や研究者仲間が家族のような存在だったのかもしれません。以下のエピソードのいくつかは、金沢大の同窓生で、浦野さんの親友の佐野明さんらに提供してもらいました。

 大学時代は、いつも講義のノートをきちんととり、試験前になると彼のノートを見せてもらう同級生はたくさんいました。意外なことに、本当は京都大学霊長類研究所でサルの研究をしたかったそうです。学部、大学院時代を通じたテーマであるオオヨシキリの研究は、金沢郊外の河北潟ではじまりました。水道もトイレもない小屋にすみ、炎天下で長時間観察をする、ストイックな男でした。近江町市場のお気に入りのパン屋さんでパンを買いこみ、酒も飲まずに調査していました。本当に真摯でした。

 阪神タイガースの大ファンで、毎年シーズン前には「江本が 30 勝、古沢が 20 勝、それから...」と皮算用し、「今年こそ優勝や!」と言ってました。大阪市立大学後期博士課程に進んだ 1985 年は、阪神が 21 年ぶりに優勝した年で、大学院合格と阪神優勝の嬉しい奇跡が起きたと喜んでいたものでした。

 1993 年に農林水産省農業研究センター鳥獣害研究室に就職し、それまでの、オオヨシキリを主対象とした基礎的な研究から、鳥による農作物被害に関する応用的な研究に従事するようになりました。カルガモやハト類、ヒヨドリなどの採食行動を中心に調べていたようですが、それまで 10 年以上続けてきた基礎的研究とは勝手が違ったかもしれません。1999 年に退職しますが、そのころより鬱病に悩まされだしたようです。

しかし、鳥への情熱は衰えることなく、兵庫県立人と自然の博物館に寄贈された 17,000 点にも及ぶ小林桂助コレクション(鳥類標本)の整理を、2001 年頃より 5 年間をかけて手がけました。ラベル整理を中心にした地道な作業ですが、基礎研究や保護に役立つ「お宝」にする事ができると、頑張っていたようです(山階鳥研ニュース 2003 年 5 月号より)。その間、山階鳥類研究所の職員となり、膨大な鳥研コレクション整理にも係わっていたようですが、2007 年に退職しました。しかし、退職後も我孫子に住んで、鳥に係わる仕事をしていたようです。

晩年と言うには若すぎますが、最後の数年間は、必ずしも恵まれた状況ではなかったかもしれません。しかし、彼の人生は、鳥屋として生ききったものだとも思っています。もう、病に悩まされることもなく、今頃は、フィールドを飛び回っていることでしょう。



受付日2009.1.27


浦野栄一郎博士の研究業績(主要なもののみ):浦野業績.rtf


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研究組織紹介


NPO法人バードリサーチ

高木憲太郎


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スズメの群れ.こんな光景が見れなくなる日が来るかも(撮影:平野敏明).
設立の理念と目標
バードリサーチは,2004 年の春に設立準備にとりかかり,同じ年の 9 月に東京都から NPO 法人の認可を得て設立しました。会員の参加を得ながら鳥類の調査研究をする団体として,コンパクトでフットワーク良い活動を目指しています。バードリサーチでやりたいこと,それは,全国の鳥の生態や生息状況に興味を持って,調べてみよう,という人たちとのネットワークを作り,調査に参加してくれる人も,僕たち自身もわくわくするような調査をしながら,そこから得られた知見をもとに社会に役立つ提言や活動をしていくことです。生命線は,全国にどれだけ調査に参加してくれる会員がいるか,それにかかっています。設立後も会員数は着実に,着実に増えているので,時間はかかるけれど目指すところに向かって頑張りたいと思います。たとえば,イギリスのイエスズメのように,日本でもスズメが急に減ったとき,その兆候をいち早く察知して警鐘を鳴らし,環境省などの行政に働きかけて,対策をとる,そんなことができる団体になりたいと思っています。

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バードリサーチのホームページ.
設立からの経緯
 設立から 4 年半が経ちました。設立当初はやっていけるのかどうか不安もありましたが,やってみればなんとかなるさ!と強気でスタートしました。経費の節減は徹底して,最初の事務所は 2K のぼろアパート。台所の引き出しの底板がなかったり,風呂釜がむかし僕の爺さんの家にあったタイプで浴槽のわきにあって,カセットコンロのようにつまみを回して,ちっちっち,ぼってつけるやつで,そこから煙突が上に伸びていました。でも,懐かしい感じがしてかなり気に入っていたのですが,あっという間に仕事が増え,人も増え,手狭になってしまったので引越しすることに。そのあとさらにもう一度引越しをしたので,今は 3 つめの事務所です。2 つ目の事務所は二階建ての 2 階の西側で南側が開けていたので,日差しがきつく,夏はとてもつらかったのですが,冬は暖かく 3 時のおやつのアイスが美味しかったです。
 今の事務所は日があたらず,暖房をつけても昼過ぎぐらいにならないと空気が暖まらないので,極端に冬のアイスの消費量が減りました。事務所に勤めているスタッフは,最近親父ギャグの減った植田さん,ビール党の加藤さん,エコ大好き神山さん,雑学王の守屋さん,そしてぼくの5名です。この他事務所にはデータ入力などで来てもらう臨時のスタッフ用の席が3つあります。また,栃木で平野さんが,滋賀で天野さんが,北海道で黒沢さんが働いています,と言えば支所があるみたいでかっこいいですね。

行なっている調査研究
大きなプロジェクトとしては,季節前線ウォッチと身近な野鳥調査,ガンカモとシギチのモニタリングサイト 1000,カワウの保護管理と衛星追跡などの調査,レーダー調査があります。このほか,夜行性鳥類の音声認識,飛翔性昆虫ウォッチ,ツバメの観察日記,ミヤマガラスの分布や初認調査,ヒクイナとコサギの生息状況調査,冬鳥の飛来状況調査,などなど,バードリサーチでどんなことをやっているかと,聞かれると数が多くて答えるのがだんだん苦しくなってきました。全部を紹介するのはちょっと難しいので,その中からいくつかピックアップしようと思います。

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ツバメ(撮影:内田博).
まずは調査に興味を持ってもらう
 より多くの方に参加してもらうという視点では,季節前線ウォッチやツバメかんさつ全国ネットワークという調査を行っています。つばめかんさつ全国ネットワークは自分の家にツバメの巣がある人たちがその記録を写真などとともにブログのように記録をつけられるようにしています。そのため誰でも気軽に参加できるため,バードリサーチの調査の中では一番参加者数が多い調査となっています。
 季節前線ウォッチは誰でも参加しやすいように識別などが簡単で比較的身近な鳥を対象としています。春はツバメやウグイス,ヒバリ,カッコウ,秋はモズやジョウビタキ,ツグミなどの初認や初鳴きを,観察した人に報告してもらうという調査です。特に,ツバメについてはツバメかんさつ全国ネットワークから集まる調査結果もあって,データ数が多く年々春の初認時期が早まっている傾向があることなどがわかってきています。
http://www.bird-research.jp/1_katsudo/kisetu/kisetsu2008.html

ミヤマガラスとガンカモ類の初認調査
 季節前線ウォッチと同じように初認の調査をミヤマガラスとガンカモ類でやっています。ガンカモ類の調査は今シーズンから始めたばかりなのですが,ミヤマガラスの調査は4年目を終えていろいろわかってきました。ミヤマガラスは 1980 年代以降国内で分布を広げてきたのですが,最初は西日本から日本海側を東へと駆け上がったのですが,東日本では逆に北から南へと分布が広がったという経緯があります。そこで,現在どのようなルートでミヤマガラスが渡ってきているのかを調べる目的で調査を開始しました。初認時期の地理的分布や渡り時の飛翔方向から東と西の両方に渡りのルートがあることが分かってきつつあります。
http://www.bird-research.jp/1_katsudo/index_miyamagarasu.html

身近な野鳥調査
 すでに個体数が少なくなっているような希少な鳥類については,手厚い保護の手が差し伸べられていますが,今はどこにでもいる普通種の調査となるとあまり関心がもたれないものです。そこで,バードリサーチでは,ベランダバードウォッチという調査を日本野鳥の会栃木県支部と共同で行っています。この調査は,山や水辺に行かなくてもできる身近な野鳥を対象とした調査で,繁殖期と冬期に 5 回ずつ自宅のベランダや家のまわりで5分ほどの調査して観察された個体数を報告するというものです。まだ急激な個体数の年変動は見られていませんが,記録率の季節変化から繁殖との関係などがみえてきています。
http://www.bird-research.jp/1_katsudo/veranda/index_kekka.html

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カワウ(撮影:高木憲太郎).
カワウ
 カワウについては,結構たくさんやっています。基礎的な調査としては関東のカワウの個体数や成鳥と若鳥の比率の調査やコロニーでのカラーリングによる標識調査(カワウ標識調査グループとの共同)を自主調査としてやっていますし,全国のねぐらについても情報を収集しその分布や個体数などを調査しています。さらに,環境省から委託を受けて衛星追跡の調査をしたり,埼玉県にある公園から委託を受けて生息数や繁殖状況の調査なども行っています。このほか,関東カワウ広域協議会の事務局や,そこで収集された情報の共有を図るための業務などを通じて,国や都道府県にカワウの保護管理のための提案を行なっています。仕事の関係で全国の漁協さんとも会って話をする機会があります。漁協さんの中にはまるでヤクザのようにおっかないおじいさんがいたり,河川環境のこと全体について考えをしっかり持っている見識のある人がいたりと,なかなか鳥の世界だけにいると経験できない出会いがあって楽しいものです。また,海外の対策事例をまとめたパンフレットの翻訳版を発行する,といったこともやっています。
http://www.bird-research.jp/1_katsudo/index_kawau_kaigaijirei.html

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対馬の調査地にて.棒を回してレーダーに扮する?植田さん(撮影:高木憲太郎).
レーダー
バードリサーチでは,レーダーを使った調査に力を入れています。ひとつは,ウィンドプロファイラという風の動きを捉える大型の気象観測用のレーダーで全国に 30 基以上設置されています。どうもこのレーダーに鳥が映っているのではないか,という論文があったので,もし,このレーダーから渡り鳥のデータが得られるなら,その時期や量などをモニタリングできるのではないかと考えました。そこで,環境省と気象庁に働きかけて,まずは,レーダーに映っているものが本当に鳥かどうか,を調査するところから始めました。上空高くを夜に渡る小鳥を捉えるために,夜通しで鳴き声を聞き取ったり,ビデオカメラにつなげた望遠鏡をひたすら月に向けて,月との間を通る鳥を記録したり...。室蘭の調査地のひとつは夜になると夜景を目当てにカップルがやってくるようなところで,寝袋に入って鳥の鳴き声を聞きとっていると,近くに来るまで気づいていなかったカップルにびっくりされたりしました。
 また,もうひとつのレーダー,船舶レーダーを使った調査も行っています。船を探知するための船舶レーダーを垂直にまわすと,眼でも耳でもとらえられない上空をすごい数の鳥が渡っているのがわかります。これを使って,渡り鳥の飛翔高度と気象の関係も調べています。また,水平にまわして,海へ飛び立っていくミヤマガラスの群れの飛翔方向を調べたり,猛禽がどの位置で上昇気流をつかんでいるのかを調べるといったことも行っています。
http://www.bird-research.jp/1_katsudo/index_rader.html

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トウネン(撮影:守屋年史).
モニタリングサイト 1000
 環境省で行なっている重要生態系監視地域モニタリング推進事業(通称,モニタリングサイト 1000)のシギチとガンカモの調査の事務局をしています。この調査は,全国に約 1000 カ所の調査地を設定し,長期的な生態系の変化をモニタリングしていこうというものです。特徴の 1 つに,同じ調査地で複数の分類群の生物の調査をすることがあげられます。すべてのサイトで複数の分類群の調査が行われるわけではありませんが,例えば,森林のサイトの中には鳥類,植生,昆虫の調査が行われている場所があります。このようなサイトでは,例えば鳥類の個体数や種構成の変化が起きた場合に,植生や昆虫の変化と比較して,その原因を分析できることが可能になります。大規模な調査ですが,バードリサーチ独自の企画力とネットワークを活かして,より良いモニタリング調査にしていきたいと思っています。
http://www.bird-research.jp/1_katsudo/moni1000/index.html

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夜明け,伊豆沼から飛び立つマガンを観察する.研究集会のエクスカーションで(撮影:高木憲太郎).
ヒクイナ調査
ヒクイナは,かつては北海道から九州まで広く生息する身近な鳥だったのですが,関東ではほとんどその鳴き声を聞かなくなりました。都道府県によってはレッドデータブックに記載されているところもありますが,全国的には濃淡があるようです。そこで,ヒクイナは現在日本にどれくらい生息しているのか,日本のどの地域で減少しているのか,あるいはまだたくさん生息している地域があるのか,それはどういった環境なのか,といったことを調べるための調査を始めました。その結果,東日本では少なくなっているものの,西日本ではかなりの数が生息していることがわかってきました。
http://www.bird-research.jp/1_katsudo/index_hikuina.html

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研究誌 Bird Research の表紙.
ニュースレターと研究誌
 調査のほかには,会員向けにバードリサーチの活動状況の報告や,参加型調査の案内のほか,鳥の調査や研究,そこから得られた面白い生態などを紹介するニュースレターを毎月発行しています。会員から集まる会費は,自主的な調査や研究集会の開催など,活動のほうに有効に活用したい,という考えからメールで PDF を送るという形を取っています。生態図鑑というコーナーでは,それぞれの種について専門的に研究されている方に,基礎的な生態だけでなく,研究からわかったこと,海外の研究事例,保護管理の課題などを書いてもらっています。
 また,大学などで専門的な研究をしているわけではなくても,良い調査や研究はたくさんあります。そうした研究の発表の場として,日本のアマチュア鳥類研究者を育てること,これまで知られていなかった鳥の生態や行動についてまとめること,そして鳥類の保護のための優れた実践と応用研究を多くの人のものにすることを目的とした学術誌として,Bird Research という研究誌を発行しています。第一線の研究者の方は筆休めに,学生さんなら卒論の内容を投稿する先の一つに考えてみてください。
http://www.bird-research.jp/1_kenkyu/index.html

 バードリサーチでは,定期的な職員の募集はしていませんが,プロジェクトごとに人手を必要としていることがあります。なにかの縁で調査を手伝っていただけることがあれば,一緒に面白い調査をやりましょう。
 以上,高木憲太郎からバードリサーチの紹介をさせていただきました。


受付日2009.1.22

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特定非営利活動法人 タンチョウ保護研究グループ

正富欣之・百瀬邦和

概要
タンチョウ保護研究グループ(TPG : Tancho Protection Group)とは、その名の通りタンチョウに関する調査・研究を行い、それを基にした保護活動や提言を行っている 2007 年 4 月に発足した NPO 法人です。現在の活動は理事長が専従であたっているのに加えて、数名の非常勤スタッフと、会員を中心とした多くのボランティアによって支えられています。
 日本のタンチョウは 20 世紀前半に絶滅の危機に瀕しましたが、冬期の給餌に代表される保護活動により、現在は 1,200 羽を超えるまで個体数が回復しています。近年は生息域が人間の活動域にまで広がってきて,地域の主要産業である飼育牛用の飼料への依存や,それに伴う酪農業や農作物への加害などが起きています。また,以前から人家周辺で電線にぶつかる事故も多く,最近は自動車や列車などとの衝突事故,農薬や鉛などの重金属を摂取した死亡事故など,タンチョウと人との距離が近くなったことによる影響も現れています。このように,北海道におけるタンチョウの生息環境や社会的状況が変化してきた中で,私たち地域住民は,今後どのようにタンチョウと接すればよいか,将来ヒトとタンチョウはどのように共存できるか,といった議論を深め,方策を見つけていかなければなりません。
  本会の前身は「タンチョウ保護調査連合」で,これまで任意団体の立場でタンチョウの調査・研究と,それを基にした保護活動や提言を行ってきました。しかし,上記のようなタンチョウの状況をふまえ,NPO 法人として今後より強力に,タンチョウの生息数や生息環境等の生態調査を継続するとともに,タンチョウの現状を広く伝え,問題提起を行なうなどの社会活動を積極的に行なっていきます。それとともに,専門家も一般の人も隔てなく連携し,タンチョウを一つの旗艦種として,広く湿原や自然の保全を進めていく団体を目指しています。

主な活動
(1) タンチョウの繁殖に関する調査
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飛行機で発見した抱巣中のタンチョウ.
飛行調査
タンチョウの繁殖期である 4 ~ 6 月に、空からヘリコプターや小型飛行機を用いて、営巣地点の調査を行っています。草の深い湿地などでは,地上からツルを見つけるのは非常に難しいので,空からタンチョウの営巣状況を確認します。調査員は通常3人一組となって,ナビゲーション,地図記入,映像記録などを受け持ち,ひたすら「飛行機酔い」と闘いながら地上のツルを探します。発見した巣については、位置を確認し、成鳥、ヒナ、卵の数等を記録し、さらには映像機器を用いた記録も行います。
 これら空からの調査結果に加えて、一部地域では地上からの観察結果や聞き取り情報等を加えて、毎年の繁殖番い数とその分布について発表しています。

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夏、草に埋もれたタンチョウの古巣(割れた卵殻が白く見える).
巣の地上調査
タンチョウが営巣地から離れた後に、巣の調査を行っています。巣材や巣の周辺状況を調べることにより、営巣地の詳細なデータを蓄積し、今後の保全活動に役立つ手がかりが得られます。春に空から簡単?に見つけられた巣が、夏に地上から探そうとすると草丈が背丈以上伸びている場所が多いので発見するのが非常に困難です。飛行調査時に撮影された写真を手がかりに、何とか探し当てるということが多くありました。最近は、人工物(道路や看板、建物など)の近くに巣を作ることもあり、そのような場所では比較的容易に発見できますが、営巣環境として良い場所とは言えません。このような場所に営巣する原因として、繁殖地の過密化が考えられています。

(2) タンチョウの総数カウント調査
厳冬期(1 ~ 2 月)に、できるだけ正確なタンチョウの数を捉える調査を行っています。タンチョウは、越冬期に主に給餌場に集まってきますが、一日中給餌場にいるわけではありません。ねぐらの川や給餌場の周りにいることもあります。そこで、給餌場にタンチョウがやってきてからいなくなるまで一日を通して観察し、個体数をカウントする調査を行っています。朝は摂氏マイナス 15 度、日中は日があると少しは快適?で、日没後は足元から寒さが凍みてくる非常に厳しい調査ですが、多くのボランティアの方々の協力をいただいています。この調査では、全個体数と幼鳥数をカウントしています。これにより、全個体数における幼鳥の割合が明らかになり、繁殖成功率などの推定に役立っています。

(3) 海外での調査
過去には、地球環境基金ほかの助成を得て、ロシアの繁殖地の飛行調査を4年間に渡って行いました。また、今年の1月には、中国の越冬地の現状を調査しました。

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タンチョウの標識調査.標識したヒナを放鳥する.
(4) タンチョウの標識調査
(財)山階鳥類研究所から足環の提供を受け,環境省保護増殖事業の一環として,タンチョウ保護研究グループが実施しています。足環は 400 ? 500 m 程の距離から文字が読め、タンチョウの長い寿命に耐えられるように特殊なものを採用しています。調査の実施にあたっては,多くのボランティアの協力をいただいています。多くの場合、調査員がタンチョウの家族を包囲し、草薮などに隠れたヒナを捕まえます。しかし、相手は野生動物ですので、危険回避能力が非常に高いのです。親鳥がヒナと反対方向に逃げたり、ヒナが身を低くして草に隠れて移動したりと、包囲していたつもりがいつの間にかヒナが別の場所に現れることもあります。このような困難?を乗り越えて装着した足環は、我々にタンチョウのいろいろなことを教えてくれます。寿命や生存率以外にも、番いの在り方や兄弟姉妹の関係など、ドラマチックなこと(少し想像が入るかもしれませんが)までわかってしまいます。標識鳥の物語が会報に載っていますので、興味のある方はこの機会にぜひご入会下さい。

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国際的なタンチョウ保護のネットワークを構築するためのワークショップを開催.
(5) アジアに生息するツル類保護に関わるネットワーク推進事業
昨年度から地球環境基金の助成を受けて、国際的なタンチョウ保護のネットワークを構築するプロジェクトを進めています。昨年度は、ロシア・中国・韓国のツルの研究者を招き、北海道鶴居村で日本を含めた各国のタンチョウにおける問題点について話し合いました。そこでは、各国固有および共通の問題を取り上げ、それぞれの解決策について議論することにより、タンチョウの種としての脅威をグローバルな視点から共通の認識としてとらえることができました。今年度は、各国における問題解決への取り組みや成果について話し合われ、来年度に国際的なタンチョウ保全ネットワークを立ち上げることが決定されました。

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ロシア、中国、韓国のツル研究者による講演会.
(6) 教育普及活動
主に海外からツル類研究者あるいは関係者が釧路を訪れた際に,それぞれの国におけるツル類の実情および保護の実態などについて,講演会を開催しています。今年度は、6 月に国際ツル財団のG・アーチボルド博士の講演会を、11 月にロシア、中国、韓国のツル研究者による講演会を開催しました。これからもこうした活動は継続して行いますので,ご自由にご参加ください。

(7) タンチョウの保護に関する提言
国や道などが公共事業を行なう際にタンチョウの生息地に及ぼす影響を避け、または軽減させるための配慮事項について提言しています。さらにこれまで蓄積してきた各種データを基に、環境省のタンチョウ保護増殖事業の方向性等についても提案や必要な資料の提供を行なっています。

(8) タンチョウをはじめとするツル類の現状と保護に関する情報発信活動
タンチョウ保護研究グループでは、様々な情報発信活動を行っています。会員の方には、会報を年 3 回発行し、お送りしております。また、ホームページによる情報発信も随時行っております。



受付日2009.1.28



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海外留学記


アマノノニッキ in ケンブリッジ (1)

天野達也(農業環境技術研究所)


 ケンブリッジではクリスマス休暇を前にいくつかのイベントも終わり、帰省する人あり、旅行に出かける人あり、大学はずいぶんと静かになりました。9 月に渡英してからようやく一区切りを迎えたなぁと息をつき振り返ると、短いながらもギッシリと中身のつまった4ヶ月だったと感じています。

 留学をしたいと考えるようになったのは 2 年ほど前、グラスゴーで開かれたイギリス生態学会に初めて参加し、帰国した時でした。英語さえなんとかして日本という境界を越えた研究活動ができれば、世界が何倍にも広がると率直に感じたのです。当たり前のことではありますが、ともすれば自分の殻にこもりがちな性格をしてもそう奮い立たせる、「百聞は一見に如かず」の経験でした。

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受け入れ教官のビルと.さすがにイギリス紳士は常に正装(うそ).
 幸運なことに農業環境技術研究所では在外研究を奨励し、随時募集していました。自分は任期付き研究員、しかも入ってからようやく 2 年目の新人でしたが、結果的には理事や領域長に熱意を理解していただき、1 年間の在外研究を認められました。農地性鳥類を対象とした研究に興味を持っていたので、行先はこの分野で研究も保全活動も盛んなイギリスと決めていました。イギリスの中でも候補はいくつか考えましたが、ケンブリッジ大学の William Sutherland 教授(以下、ビル)には、自分が研究を始めてから強く影響を受け、またずっと憧れていたこともあり、ビルが所属するケンブリッジ大学 Conservation Science Group に決めました。ビルには学会で「会ったことがある」程度でしたが、突然の申し出にも快く受け入れてもらうこととなりました。

 バタバタと渡航の手続きを済ませ、ロンドンでの学会を経てケンブリッジに着いたのは 9 月頭、強い雨が降る夜でした。週末を経て月曜に初めて研究室に顔を出した時の緊張感は今でも強く印象に残っています。下見で訪れたことはありましたが、いざ与えられた自分のデスクに座ると、外国で自分の「居場所」を与えられるという感覚は不思議なもので、何ともフワフワと浮ついた気分でした。

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研究室.来年 800 周年(!)を迎える大学とは思えないほど新しい.
 その後数か月は、研究室内での自分の立ち位置を徐々に見つけてきた期間だったように思います。ビルに加え Andrew Balmford 教授、Rhys Green 博士の教官陣とポスドク、大学院生からなる Conservation Science Group は、留学生も多い大所帯です。とは言うものの、日本人はおろかアジア人もいない中、英語のおぼつかない自分はどんなにがんばっても会話には乗り遅れ、気を使われるような立場になりがちです。それがグループの中で少しずつ馴染めるようになったのは、やはり研究の話をすることで、やっていることをそれなりに認知してもらうようになったことが大きく影響していると思います。

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ケンブリッジ大学・動物学部.
 受け入れ教官のビルは非常に多忙な中、自分の研究室メンバーの進捗状況はかなり気を使って把握するよう努めているようで、少なくとも週 1 回は各メンバーのところを回り、「ちょっと話、しようか?」と隣の自室に連れていきます。自分も渡英直後から幾度となく彼の部屋で研究の話をしました。現在やっている作業の報告、投稿中の論文の状況、共同研究の打ち合わせから、グループの他のメンバーのテーマや生活上の問題についてまで、とりとめもない話題も多いのですが、多忙な中時間をとってもらっていることを考えると、この貴重な機会に何とかしてよい報告をしようと毎日の研究生活の励みにもなっています。

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BTO では日本における鳥類の個体数変化について発表.
 またビルの勧めもあり、何度かセミナーで研究の話をする機会を与えてもらいました。Conservation Science Group として行っている週1のミーティング、学部全体で行っているセミナー、British Trust for Ornithology (BTO) のセミナーで、これまで自分が行ってきたテーマや、現在進行中のテーマについて 15~30 分の発表を行いました。これまで行った全ての国際学会数と同じくらいの数の発表が 10 月後半から 11 月にかけて続いたため、準備はそれなりに大変でしたが、滞在中早い段階で多くの人に自分の興味やアプローチ、技量について知ってもらえたのは非常に大きかったと感じています。こういったトークや毎日のティータイム、パブで話したことをきっかけに、その後研究の相談をしたり、されたりと、交流も自然と多くなっていきました。

グループ内外の多くの研究者とネットワークを作れるのも大きな魅力だと感じています。ビルといくつかの研究テーマについて話しているうちに、イーストアングリア大学や BTO、レディング大学などに所属する、これまで論文でしか見たことのなかった研究者と瞬く間にコネクションができ、共同研究を始めたり、プロジェクトミーティングに参加させてもらったり、セミナーで発表させてもらったりすることができたのは本当に驚きでした。もちろんケンブリッジ大学の動物学部には生態学の研究グループが数多くあるために、内外からの著名な研究者のセミナーを毎日のように聞けるのは本当に贅沢な話です。

生活面でもありがたいことに素晴らしい環境で楽しい毎日を過ごしています。大学所有のフラットからの通学路は川沿いの緑地を通り、季節の変化とともに違った風景が楽しめます。街中には数百年の歴史が日々の生活に溶け込み、少し足を延ばせば Fen と呼ばれる湿地や、イギリスでも代表的なシギ・チドリ類、ガン類の渡来地である The Wash でバードウォッチングを楽しむこともできます。

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街の風景.

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The Wash.

 そんな毎日を過ごしているうちに、だいぶ地に足のついた生活を送れるようになってきました。こちらで始めた研究も少しずつ結果が出始め、周囲で行われている研究プロジェクトの様子も徐々に見え始めてきました。新年からは、またさらにこの環境を生かしていい研究を発展させていけそうです。今はまだ午後4時には真っ暗になる毎日が続いていますが、冬至を回りいよいよ後は明るくなるばかりのケンブリッジから、次の機会にはこちらでの研究についても、もう少し具体的にご紹介できればと思っています。


受付日2008.12.22

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ダーウィン便り(13):No border?

江口和洋 (九州大学大学院理学研究院)


 最近は海外旅行にはツキがないという気がしてなりません.今回はオーストラリア調査のための入国に関わるトラブルです.

 学術調査には観光ビザ以外のビザが必要かもしれないと,毎回心の隅に引っかかりながらも,電子ビザという手軽で便利なビザがあると,ついつい,「観光」で,まあいいかと言う気になってしまいます.当然,入国カードには「休暇(Holiday)」に印をつけます.1 度や 2 度なら問題ありませんが,3 ヶ月近くの滞在を示すスタンプがパスポートにべたべたと押してあると,さすがに「おかしい.何かある.」と怪しむのは当然かも.それでも,はじめのうちは,「よくオーストラリアにおいでになりますね.」という問いかけに,「オーストラリアが好きですから.」と,軽くいなすことができました.前年,オーストラリアからの出国の時,「毎年,3 ヶ月近くも休暇ですか?」と聞かれて,「ええ,鳥を見てますから.」と,答えると,係官の顔色が変わって(?),「ちょっとこちらへ来てくれませんか?」と,出入国カウンターの横のソファへ連れて行かれて,「標本などの持ち出しは無いですか?」と聞かれました.鳥を見る奴は誰でも標本ないし生きた個体そのものを持ち出すという評判が立っているのだろうか.もっとも,その前年に,日本のアマチュア昆虫愛好者と業者が,オーストラリアのロードハウ島から,大量に貴重種の甲虫を密輸出しようとして摘発された事件がありました.これが尾を引いているのでしょうか.この時はことなきを得ました.

 それ以来,どうも検査の無作為抽出の対象によく当たるように思うのは被害妄想でしょうか.入国検査を出るとにこやかな顔のお姉さんが近づいて来て,「荷物の X 線検査をさせていただいてよろしいですか?」と,おっしゃった.「いえ,けっこうです.」とも言えないので,「もちろん,OK です.」と胸を張ります.しかし,今回はあまり胸を張れなかったんですよね.ビデオカメラ 2 台,CCD カメラ 5 台,CCD 用の長いケーブルのリールが 4 個.とても,バードウオッチングのためとは思えません.このケーブルが X 線で怪しまれて,スーツケースを開けての,逐一検査になりました.そこで,[実は,鳥類の研究プロジェクトで...」と,白状することになります.「どんな鳥ですか?」と聞くので,「Grey-crowned babbler and Red-backed fairy-wren」と答えると,「なぜ,この鳥をオーストラリアで研究するのか,日本にはいないのか?」「なぜ,この鳥に興味があるのか?」という,「あんたには関係なかろうもん.」と言いたくなるような質問が続きます.「これらは協同繁殖するからおもしろいんです.協同繁殖は行動生態学分野の重要な研究テーマの一つです.」と,説明する.「日本にはいないの?」と来る.「日本にはほとんどいない.でも,オーストラリアはこのような鳥が世界一多いので有名です.」と,なんでこんなことを説明しなければならないのかと思いつつ,説明することになります.

 それでも,ビデオくらいならまだ良かった.不幸なことに,その時は血液採取用の注射針とバッファーを持っていました.これは,言い逃れもできないので,正直に「DNA を抽出するための血液を採取して保存するための物です.」「日本に持ち帰るのか?」「はい,そうです.」

 ここで,ちょっと騒ぎが大きくなりました.さらに上の係官がやって来て,さっきのお姉ちゃんが説明をしています.2 ~ 3 人掛かりで質問してきますが,一種の職務質問なので,よけいなことを言わないよう,少しでも不要に怪しまれないようにと,答える方も慎重になります.「何のため,どうやって,血液を採取するのか?」「繁殖グループのメンバー間の血縁関係を調べるためです.」と,答えると,さすがに人間社会でもかなり普及しているので,納得してくれたようです.少なくとも,注射針が犯罪目的ではないことは理解してくれたようです.

 「しかし,日本へ持ち帰るためには許可が必要だと思う.」と,問題の核心に入って来ました.「それは,大丈夫.これは,日本とオーストラリアの共同研究である.私の九州大学とチャールズ・ダーウィン大学とは研究者交流協定を締結している.持ち出し許可は CDU を通じて取得することになっている.」この時ほど,半年あまりかけて研究者交流協定を締結しておいてよかったと思ったことはありません.これで,1 時間近く続いた荷物の尋問は一応放免ということになりました.

 これで無罪放免といかないのは,次にビザの問題があるからです.もう一人のビザ担当者が言うことには,「学術調査には電子ビザ以外のビザが必要ではないかと思う.」「どんなビザです?」「帰国したら,大使館に問い合わせなさい.」なんだ,この人も知らないんだ(注:帰国後,大使館に確認しましたが,短期間の調査は電子ビザでいいということでした).

 このように,海外での調査には調査環境を整えるための準備が不可欠なのですが,アバウト人間の私にはなかなか大変です.



受付日2008.07.27

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編集後記


 鳥学通信第 23 号をお届けします。今号は、2008 年 10 月 29 日に逝去された浦野栄一郎博士の追悼記事を中心にお届けします。私(編集長百瀬)も大学院時代からの知り合いで、学会などで会う度に色々な話しをするのが楽しみでした。年齢はほぼ同じでしたが、自分の研究に対して彼のコメントをもらうと、「このやり方でよかったんだな」とか、妙に納得できたのを覚えています。浦野さんは、人の話を熱心に聞き、的確なコメントをくれたため、心に残ったのだろうと思います。心からご冥福をお祈りします。
 また、今号では、従来の研究室紹介に加え、民間で鳥の保護や研究に取り組む NPO などの組織を紹介するコーナーをスタートさせました。第一回は東京のバードリサーチと、釧路のタンチョウ保護研究グループが登場します。彼らが組織としてめざすところに、ぜひ注目下さい。鳥学通信では、鳥関係の研究機関、組織、団体などを積極的に紹介したいと思いますので、ぜひ記事をお寄せ下さい。
 さらに今号から、現在英国に留学中の天野達也さん(農環研)に、留学生活の様子などを連載していただきます。こちらもお楽しみ下さい。(編集長)



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鳥学通信 No.23 (2009年2月1日)
編集・電子出版:日本鳥学会広報委員会
百瀬 浩(編集長)・山口典之(副編集長)・
天野達也・染谷さやか・高須夫悟・東條一史・時田賢一・和田 岳
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