日本鳥類標識協会誌のご紹介

2016年6月29日
日本鳥類標識協会編集委員会
森本 元・齋藤武馬

日本鳥学会誌をはじめ、日本国内には数多くの学術誌が存在しますが、「日本鳥類標識協会誌」もそんな雑誌の一つです。現在発行されている、鳥類学関係の他誌に比べると、最もマイナーな存在という印象を持たれる方もいるかもしれませんが、学協会発行のれっきとした学術誌です。掲載から2年を経過した論文はJ-Stage上にてどなたでも読むことが可能ですので、ぜひ一度、中身をご覧になっていただけると嬉しいです。また、会員内外のどなたでも投稿可能ですので、どんどんご投稿ください。

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表紙は毎年変わります。上記は2015年のもの。

当誌の特徴といいますと、これまでの掲載論文の内容から、鳥種の形態や識別に関するものが多い雑誌であるといえます。日本鳥類標識協会誌は、誌名に「標識」とついていることからもわかるように、鳥類標識調査に関する団体である日本鳥類標識協会が発行しています。みなさん、鳥類標識調査はご存知でしょうか?鳥類標識調査(通称バンディング)は、鳥に足環や発信機等の標識を装着し、鳥の移動や寿命、個体数変動を調べる調査手法です。現在、世界中でこの標識調査は行われており、毎日のように、それら標識個体の情報が国内・国際的にやりとりされて、移動情報が蓄積されています。日本では環境省が事業を主導し、山階鳥類研究所が受託者となって実施されています。この活動を支えているのが、通称「バンダー」と呼ばれるボランティア調査者の方々です。日本鳥類標識協会の会員の大半はこのバンダーであり、それゆえ、鳥類の識別や移動に関する話題が多い雑誌となっているわけです。日本鳥学会の雑誌(和文誌・英文誌)や、バードリサーチ発行の「Bird Research」誌、日本野鳥の会発行の「Strix」誌、どれも鳥類の生態を扱った研究内容が掲載されることが多いと思いますが、日本鳥類標識協会誌は、それらとはちょっと毛色が違う、鳥学の中でも特定分野に特化した学術誌という印象を持っている方もいるかもしれません。

実は、日本鳥類標識協会誌はこうした分野のみに特化した雑誌というわけではありません。鳥学に関わることなら何でも投稿を受け付けており掲載しています。本誌は、バンディング関係の論文しか載せない雑誌という誤解を受けることがあるのですが、そんなことはないのです。例えば、生態研究でも構いませんし、寄生虫など鳥に関わる周辺的なテーマ、鳥類に関わる文系的テーマもOKです。和文論文が主ですが、英文論文も受け付けており、和英混合誌であるといえます。

本誌の編集委員の一部は鳥学会発行の雑誌の編集にも関わっている立場なので、申し上げにくいのですが、本誌への投稿も選択肢の1つとしてご検討していただければと思います。また、観察記録の公的な記録にも力を入れており、県初確認等の記録も積極的に掲載しています。さらに、論文の執筆相談も受け付けており、執筆経験が浅い方であっても、気負わずにご相談いただければと思います。学生やアマチュア研究者の方々が論文を執筆する手助けができれば幸いです。

さらに、持ち込みでの特集企画も歓迎です。若手研究者の方々の中には、何かやってみたいが、雑誌の敷居が高いと尻込みしてしまったり、足がかりが無くて困った思いを経験した方もあるかとおもいますが、本誌をうまく利用してください。日本鳥類標識協会誌の編集委員会は、30代を中心に若い編集委員で構成されており、カラー図表の多用や、カラー表紙、表紙付き別刷り、Editor’s choice、オンラインファースト(電子版の先行出版)等、他誌に無い様々な投稿者・読者サービスを試み、実践しています。新しい事柄に挑戦したい、論文執筆をチャレンジしてみたいとおもっている、学生、アマチュア、若手研究者の発表を行う場を拡げ、その手助けをしたいと私達は考えています。投稿してみたいとおもう方々は、ぜひ、お気軽にご相談くださればとおもいます。

日本鳥類標識協会誌ホームページ
http://birdbanding-assn.jp/J03_bulletin/index.html
日本鳥類標識協会誌J-Stageウェブページ
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jbba/-char/ja/

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