植田睦之(バードリサーチ)
最近,鳥が増えたり,減ったりといった変化を感じることありませんか? 日本鳥学会誌にも八ヶ岳でジョウビタキの繁殖が定着していること,スズメの減少など鳥の生息状況の変化について報告した論文が掲載されています。
地域の鳥の変化については,いろいろな研究がされていますが,全国的な鳥の分布の変化を示した唯一の情報が環境省が行なった鳥類繁殖分布調査です。この調査は1970年代と1990年代に行なわれ,アカモズやチゴモズ,ヨタカやシロチドリなどがレッドリストに選定されることにつながりました。またこのデータは研究の上でも重要な情報で,日本で減少している鳥の特性の解析(Amano & Yamaura 2007),土地利用が鳥へ及ぼす影響(Yamaura et al 2009)などこの情報を使って書かれた論文がいくつもあります。
1990年代に行なわれた最後の調査から,もう20年が経とうとしています。その間に,外来鳥の増加や,シカの増加による植生の変化,震災の影響など,鳥の状況には変化がおきていそうです。そろそろ3回目の全国調査が必要です。しかし,残念なことに,これまで調査を行なってきた環境省には,もうそれを行なう体力がないそうです。
では,どうするのか? 「みんなでやるしかないでしょ」ということで,NGO,省庁,大学,地方の研究機関,野鳥関係団体の合同調査として,第3回目の全国鳥類繁殖分布調査を実施しようと準備をはじめました。
期間は来年2016年から5年間。全国に約2,300あるコースでの現地調査や任意定点調査,アンケート調査の結果をまとめて日本で繁殖している鳥の分布図を描きます。
この調査に皆さんも参加しませんか? 現地調査を担当していただくのも歓迎ですし「この種は任せて」ということで種の情報収集やとりまとめを担当いただくのも歓迎です。また,解析WGグループというのもつくっていますので,調査全体の解析に係わりたいという方も歓迎いたします。
詳細は,全国鳥類繁殖分布調査のホームページをご覧ください。現地調査への参加はホームページから参加登録いただき,取りまとめに係わりたいという場合は,植田まで直接お問い合わせください。
皆様のご参加,お待ちしています。
主催団体:バードリサーチ,日本野鳥の会,日本自然保護協会,日本鳥類標識協会,山階鳥類研究所,環境省 生物多様性センター