最初のEditor's Choice「注目論文」は江口さんのカササギのモノグラフに決まりました

2016年5月30日
日本鳥学会誌編集委員長 植田睦之

今号より各号原則1編の注目論文を和文誌編集委員会の協議で選出することになりました。学会誌の論文は,発行から1年間のあいだ,非会員の人は読むことができませんが,注目論文は制限期間なしに読むことができます。

この制度は,投稿者の励みになることでの学会誌への投稿の増加と注目論文をすぐ読めるようにすることでの会員の増加を狙って実施しています。 

記念すべき最初の注目論文は,江口さんのカササギのモノグラフです。 

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日本鳥学会誌 65巻1号 注目論文
江口和洋 (2016) カササギ. 日本鳥学会誌 65: 5-30.

この論文は,江口さん自身の長期にわたる研究の成果に加え,古文書や各種調査報告書をあわせてまとめることで,九州北部のカササギの分布の変遷とその原因についてまとめた総説です。電柱を営巣場所として利用するという行動の獲得と,人間の開発による土地利用の変化が,それまで局所的にしか分布していなかったカササギの分布拡大や個体数の変動につながったのではないかというこの研究は生態学的に興味深いだけでなく,近年分布を広げて特定外来生物にも指定されているソウシチョウやガビチョウなどの外来種の分布拡大のメカニズムの解明などの応用面でも重要と考え,注目論文として選定しました。

以下のURLより,どなたでも読むことができます。
http://doi.org/10.3838/jjo.65.5

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