自然史学会連合のご紹介

2016年7月4日
自然史学会連合鳥学会代表 濱尾章二

自然史学会連合をご存知でしょうか。「聞いたような気もするけど、よく知らない」「総会の決算報告で聞く、毎年分担金を払っている団体でしょ」というような方が多いのではないでしょうか。前任の西海さんに代わって、1月からこの連合の鳥学会代表を務めることになりました。この機会に、連合を紹介したいと思います。

自然史学会連合は、鳥学会など生物の分類群ベースの学会や、生態学会・行動学会のような学問分野ごとの学会、また地質関係の学会など、自然史科学関連の39学協会
http://ujsnh.org/societies/index.html
が加盟している連合体で、日本学術会議の協力学術研究団体の一つです。学会の間をつないで自然史科学の振興を図り、研究教育態勢の改善を目指すというのが、設立の理念です。
http://ujsnh.org/about/philosophy.html

設立理念の中には、「自然の正しい理解とその普及が人間教育とこれからの社会にとってきわめて重要」、また自然史研究の成果は「細分化された専門分野を横断した協力と総合によって得られる」と書いてあります。かつての役員の一人(小汐千春)は、「自然界の理解や自然観の形成に役立つということは、『文化』への貢献という点で非常に重要である。私たちの行っている科学とは、まさに『文化としての科学』なのである」と述べています。文化としての自然史科学が健全に育つよう社会に情報発信していくのが、連合の目指すところだと言えましょう。
http://ujsnh.org/activity/essay/useful.html

「なかなかいいことを言っているではないか」と思ってくださった方も多いことと思います。実際、運営に関わってみると、見識が高く、また仕事の速い人が多くて、舌を巻いています。

さて、その仕事の中身ですが、最近の仕事で特筆すべきなのは、「理科好きな子に育つ ふしぎのお話365」という一般書の刊行です。
https://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=4478
鳥学会員で協力した方もいますが、タイトルの通り、39学会の力が結集された力作です。この本は、第63回産経児童出版文化賞(JR賞)を受賞しました。

また、毎年、講演会を行っています。これは全国各地の博物館などを会場に行われているもので、鳥学会員で講演をしたり、協力したりした方もいると思います。
http://ujsnh.org/sympo/index.html
今年度は、詳細未定ですが、群馬県立自然史博物館で2017年1月21日(土)に行われます。

そのほか、自然史科学に関わる各種シンポ、イベントの後援、声明や要望書の提出などを行っているほか、近年は博物館学芸員資格の問題*についても情報交換がされています。

ぜひ一度、自然史学会連合ホームページをご覧下さい。
http://ujsnh.org/

* 学位を持っていても学芸員資格を持っていないと博物館に就職できない場合が多いことや、学芸員資格を得るための授業で自然科学が軽視されている問題などが指摘されています。

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