小林さやか(山階鳥類研究所)
山階鳥類研究所では研究用の標本を収集しており、その材料となる鳥の死体を受け入れるのが私の仕事で、日常的に鳥の死体を扱っています。死体に触れるだけではなく、解剖することも日常です。さらに自分で扱うだけではなく、窓に衝突したり、交通事故などで死亡した鳥を一般の方々からいただいたりすることもありますし、受け取ったこれらの死体をアルバイトさんに扱ってもらうこともありますので、今までの扱い方を確認するためにも今回参加することにしました。
前半は講師の葉山さんが野生動物の死体の安全な取り扱いについて、後半は高木さんが生きている鳥をケガさせた場合の処置の仕方をお話ししてくださいました。前半の葉山さんの話が私の業務にとっては関心事です。これまで自分たちがしてきた死体の扱い方、マスクや手袋、白衣を身につける、触った後は手洗い、うがい、特に手洗いは入念にする、ことで問題なさそうということが確認できて、安心しました。今まであまり気にしていなかったのが体調管理です。体調が悪いときには抵抗力が落ちているので、健康なときには感染しなくても、体調が悪いときには感染する可能性が高まるので要注意、と葉山さんのお話しにあり、その通りに思いました。皆さんもどうぞご注意ください。
後半の高木さんのお話についても、バンダーとして鳥を捕獲して標識し、山階鳥研の組織サンプル収集の目的で採血もしているので、興味深く拝聴しました。今まで私が見てきたケガした鳥の症状と高木さんのお話を頭の中で照らし合わせながら、「あの症状の時は、こんなことが起こっていたんだ」と納得することも多々ありました。今回、講演のなかで会場の関係で採血などの実習ができないと説明されていて、企画された方々のご苦労もしのばれるのですが、実習や見学がなかったのがちょっと残念に思いました。次の機会に期待したいと思います。