藤田 剛 (日本鳥学会誌編集委員長)
日本鳥学会誌では、毎号の掲載論文から編集委員全員の投票で注目論文を毎号選んでいます。選ばれた論文は、掲載直後から J-stage でダウンロード可能になります。
で、今回は70巻1号の注目論文の紹介。
著者:藤井忠志さん
タイトル:クマゲラの生態と本州における研究小史
https://doi.org/10.3838/jjo.70.1
白神山地のニュースなどから、クマゲラが本州の森にもくらしているのをご存知の方も多いと思います。この論文は、本州に生息するクマゲラの研究の歴史をふり返りつつ、これまでの研究によって、本州に生息するクマゲラの生態と現状、保全上の課題などをまとめた力作です。
以下は、著者藤井さんからの熱いメッセージ。
本州では幻のキツツキ・クマゲラと関って40年が経過しようとしている。その間、小笠原暠先生からご教示を得て、先輩の(故)泉祐一氏からは生態や調査法の手ほどきを受け、白神山地を中心とする北東北のブナ林を駆け回った。白神山地が世界自然遺産指定になる前の調査では、私はじめ調査仲間が危うく命を失いかけたこともあった。そんな命がけの調査のデータや想いを70巻第1号に掲載できたことは大変うれしく、光栄に思う。
クマゲラの減少も去ることながら、クマゲラ研究の後継者がほとんどいないことに危惧する昨今である。
NPO法人本州産クマゲラ研究会 理事長 藤井忠志クマゲラがすむブナ林 2015年5月9日 (撮影: 藤井忠志. 青森県鯵ヶ沢)
巣口の雄 2010年6月12日(撮影: 藤井忠志. 秋田県森吉山))
ぜひ、ご一読を。