今号の注目論文が決まりました。
著者:山路公紀・宝田延彦・石井華香
タイトル:八ケ岳周辺と高山市におけるジョウビタキの繁殖環境の選好性
DOI: https://doi.org/10.3838/jjo.70.139
国内で冬鳥とされていたジョウビタキが、国内で繁殖しはじめたことをご存知の方も多いと思います。そのジョウビタキの国内での繁殖場所選択の研究です。ぜひご一読を。
この論文の謝辞を見ていただければ分るように、ほんとうにたくさんの方たちの協力によって、実現した研究です。
以下は、鳥学会編集委員のひとりとして、うれしくなるような著者のお一人からのメッセージ
この論文の掲載は、日本鳥学会に、アマチュアがプロの丁寧な指導を受けながら原著論文を発表できる場があることを証明してくれました。掲載に加えて、エディターズチョイスに選定されたことは光栄であり、感謝しております。ジョウビタキは人の生活に近い場所で繁殖します。地域の人々の生活の場から寄せられた一つ一つの情報とコミュニケーションを大切にすることで、広い調査地に感動の輪を広げることができました。この鳥は、環境順応性が高いこともあり、今後、林縁に近い住宅地や緑被の多い都市部への繁殖拡大が予想されます。しかし、まだ分かっていないことが多いです。解決のために、より多くの方々が研究されることを希望します。(山路公紀)
市街地の住宅のベランダで営巣 2020年5月8日 長野県諏訪市(巣立ち後撮影)撮影: 山路公紀
店舗前の郵便受けで営巣 2020年4月27日 山梨県北杜市 撮影: 山路公紀
換羽が始まった雄が巣に餌を運ぶ 2017年8月20日 長野県茅野市(標高1,760m)撮影: 山路公紀
巣立ち雛への給餌 2015年7月13日 長野県霧ヶ峰高原 撮影: 野中 治
(* 日本鳥学会誌では、毎号の掲載論文から編集委員全員の投票で注目論文を毎号選んでいます。選ばれた論文は、掲載直後から J-stage でダウンロード可能になります)