鳥の学校-テーマ別講習会-では,専門家を講師として迎え,会員のレベルアップに役立つ講演や実習を行っている.第13回は,2年ぶりに対面で開催された2022年度大会と連結して,大会初日の11月3日に大会会場である東京農業大学網走オホーツクキャンパスで行われた.近年,鳥類の野外調査でも使用され始めたドローンを使う上で,ドローンを鳥類調査に用いるために必要な知識と技術を養ってもらうため,機種,法令,安全管理,データ解析,鳥類への影響等に関する座学と,操縦実習まで,小川健太氏(酪農学園大学)を講師にお迎えし,26名の会員が参加した.
天候が午後から悪化する予報であったため,講師の紹介と簡単な説明の後,さっそくドローンの野外実習を大会会場の駐車場で行った.講師らによる2種類のドローンの操縦や撮影の実演に加え,経験者と初心者にグループ分けされた参加者も操縦を体験した.
後半は座学で,ドローンの一般的な知識や使用方法,国家資格化の動向などの最新情報に加え,鳥類の調査研究のための水鳥類の自動カウントなどの実践的な手法を学んだ.さらに,野外実習で撮影した画像データを用いた解析のデモンストレーションへと続いた.座学では,ドローンの使用経験のある参加者と講師の間をはじめ,活発な情報交換が行われ,低温下でのバッテリーの保管方法など,使用時のポイントが議論された.
事後アンケートによると,参加者のうちドローン経験者からは,悩みの共有や新しい知見の情報交換ができた,ドローン初心者からは,操縦体験だけでなく新しい技術にも触れられた,ドローンを用いた研究発表への理解が深まったなどの感想が寄せられ,質問できる機会が多くてよかったなど,参加者の満足度も高かった.ドローンの準備から始まり,幅広い内容にわたる座学と,参加者との相互のやり取りを重視して講義を進めてくださった講師,野外実習を補助していただいた助手の方々,コロナ禍の大会開催という困難の中,会場準備にご尽力いただいた大会実行委員会の方々,そして円滑な進行にご協力いただいた参加者の方々に,深くお礼申し上げる.
鳥の学校-テーマ別講習会-は,今後も大会に接続した日程で,さまざまなテーマで開催する予定である.鳥の学校の案内は,大会ホームページや学会誌に掲載する.