鳥類学若手の会の活動

飯島 大智1・山﨑 優佑2・水村 春香3・姜 雅珺1・田谷 昌仁4・犬丸 瑞枝5・井上 遠6
1 千葉大学大学院 融合理工学府
2 特定非営利活動法人バードリサーチ
3 東京大学大学院 農学生命科学研究科
4 東北大学大学院 生命科学研究科
5 国立感染症研究所 昆虫医科学部
6 一般社団法人バードライフ・インターナショナル
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鳥類学若手の会は2018年に発足した「若手」で「鳥の研究に興味がある」人なら誰でも参加できる団体です。本会の活動の目的は、鳥類の研究に興味がある若者同志の専門分野や所属を超えた交流を促進することであり、1年を通してオンラインや実地でのイベントを開催しています。会員の人数は2023年1月時点で80人を超え、大学生や大学院生だけでなく、社会人や高校生も参加し、多様性に富むグループになってきました。今回は鳥類学若手の会、そして行っている活動について、紹介していきます。なお本稿の最後に、入会のための手段および若手の会のウェブサイト情報を記載していますので、気になる場合にはぜひご確認ください。

参加条件
はじめに本会への参加の条件を紹介します。本会は入会を35歳以下に限定しています。その理由は、世代が近い者同士の自由な交流の場を設けたいためです。また、一見すると研究者によって構成される団体のようにも見えますが、決して鳥の研究をしている必要はありません。必須条件は「鳥の研究に興味があること」であり、高校生や、卒業研究のテーマが決まっていない大学生、社会人の参加も大歓迎です。また、各学会に所属している必要はありません。

イベントについて
2020年のコロナ禍以降、鳥類学若手の会は主にオンラインで活動を行っています。まず2020年以降のオンラインイベントについて概説します。次に、2020年以前の対面を中心として行われていたイベントについても簡単に紹介していきます。対面イベントは、今後コロナ禍以前の日常が取り戻された場合には実施したいと考えています。

オンラインイベント
鳥類学若手の会は年に数回のウェブセミナー(以下、ウェビナー)を開催しています。鳥類学ウェビナーでは、若手の会のメンバーをはじめ、鳥類を材料とした研究を行っている方を演者としてお招きし、オンラインで講演していただきます。発表後の質問タイムは、きっと学会よりも和やかな雰囲気のなか、気になる内容についてじっくりと話を聞くことができるはずです。また3月から4月にかけては、会員の希望者が発表する形で卒業論文・修士論文・博士論文の内容についての発表会も開催しています。新規性のある興味深い研究内容に耳を傾け、もし今後研究を開始する方であれば、どんな研究をしていこうか考える良いきっかけになるでしょう。また発表者も鳥を専門とする会員からの意見を、ご自身の研究の発展に生かすことができるかもしれません。
また、会員のなかの希望者を対象として、論文や専門書の輪読会も行っています。鳥類という共通点のもと、専門外の分野の論文の解説を聞き、議論する機会は研究室などではなかなか得られないかもしれません。また共通の本を参加者で読み、意見交換する機会は、その内容について深い理解と洞察を得られると期待できます。ほかにも2022年には、自分の研究を3分間で紹介するライトニングトークイベントや、研究手法についての勉強会や雑談会を、2021年までは日本鳥学会大会で自由集会の開催(参加者の年齢制限なし)などをしてきました。
さらに、会員はオンラインチャットツール「Slack」に参加することができます(図1)。Slackでは、鳥類学関連のイベント情報、就活情報、解析に関する質問、研究に使う試料収集の依頼など、イベント以外でも会員と繋がり、様々な鳥類学情報を発信・収集ですることができます。最初の投稿の敷居は高いかもしれませんが、どんな些細な質問や相談、雑談でも、投稿してくれればそこから新しい視点や研究のアイデアが得られるかもしれませんし、他に気になっていた人の役にたつかもしれません。ぜひお気軽に投稿をお願いします!

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図1 会員はオープンチャットツール「Slack」で、鳥類学関連の情報を発信・収集することができます。*写真をクリックすると、拡大してご覧いただくことができます。

対面イベント
コロナ禍前はオンラインだけではなく、対面とオンラインを組み合わせる形で活動を行っていました。活動内容としては、輪読会、研究報告会、論文合宿、解析ツールの勉強会などを実施していました。具体的には、関東に住んでいる会員が都内に集まり、現地で輪読を進行し、遠方に住む会員はオンラインで参加するような形でイベントを運営していました(図2)。

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図2 コロナ禍以前は、対面での輪読会や研究報告会を行っていた。現在はオンラインで同様のイベントを開催していました。

論文合宿では、大学の合宿施設を借り、各々が2日間で論文執筆の目標をたて(例えば、1章を書き切るなど)、進捗を報告しあい、疑問点を議論しながら執筆を進めました。コロナ禍以前の日常が取り戻されれば、こういった現地でのイベントも開催できるようになるかもしれません。

入会について
会での活動を通して、研究仲間を見つけることができるかもしれません。お互いに切磋琢磨しながら研究を進めたり、異分野の研究に触れたり、将来の進路を考えるために現役の若手研究者と交流することは、きっとご自身の研究や活動に良い影響があると信じています。本会に興味をもっていただけた方は、本会ホームページ(図3; https://ornithologywakate.wixsite.com/home)から活動の詳細を確認いただき、ホームページの ”About Us” から ”入会・退会・MLについてはこちら” をクリックし、入会申し込みをお願いします。ぜひ一緒に、鳥類学を楽しみましょう!

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図3 若手の会ホームページのQRコード

 

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