鳥の学校「ガンカモ類研究のための捕獲技術実習」を受講して

近畿大学 神野寛和

 今回、日本鳥学会金沢大会に伴って行われた、片野鴨池での鳥の学校に参加させていただきました。自分は高校生の頃からカモ類に対して興味を持っており、今後もカモ類をはじめとした水鳥類に関連した調査・研究がしたいと考えていたため、今回の鳥の学校への参加を決めました。

 まず、鴨池観察館のレンジャーである櫻井さんに片野鴨池についての講義を行っていただきました。片野鴨池がトモエガモやマガンなどをはじめとしたガンカモ類の主要な越冬地であるということや、オオタカやクマタカなどの猛禽類の生息地にもなり、鳥類の重要な生息地だということを教えていただきました。また、ラムサール条約やEAAFPに登録されていることや、片野鴨池の成り立ちなども知ることができました。

 次に、坂網猟師の方々から、坂網猟が武士のみに許可されて構え場まで行くことなどによる足腰の鍛錬のために藩が奨励していたなどの歴史や、実際の猟の仕方やカモが坂網に捕まった時にどうなるかなどを教えていただきました。その後の坂網漁の実習では、実際に坂網を組み立てるところを見せていただき、里で簡単に手に入る材料を用いた猟具であるということを初めて知りました。実際に投げさせていただきました。個人的には見た目以上に軽く、持ちやすく感じました。しかし、実際に投げてみたところ、真上にまっすぐ投げるのは思っている以上に難しかったです。また、薄暗い時間にカモの風切り音でその飛来を知り、狙えると判断した高度を飛んでいる時にカモが飛んでくるところに投げるということを実際に行うと考えると、自分には到底できないことで猟師の方々の技術に感銘を受けました。

 また、実習後に日本野鳥の会の田尻さんのお話がありました。その中にあった、片野鴨池周辺の農家さんたちと協力して、越冬期にカモ類が採餌できる環境を整えるために“ふゆみずたんぼ”や“あまみずたんぼ”を行うことで、水がある環境での採餌を好むカモ類が飛来する環境を作ったというお話がとても印象に残りました。

 最後に、山階鳥類研究所の澤さんが使っておられる、ガンカモ類を捕獲するために使う(講師の先生がコクガンを捕獲する用の)くくり罠を作りました。その際、捕獲対象となる鳥類が罠にかかった後に負傷しないようにする工夫と、かかった鳥類が暴れたり一度落ち着いたのちに緩んだりしないような工夫が両立されている罠の作り方を教えていただくことができました。

 全体を通して最前線で活動しておられる先生方のお話を聞くことで、普段の生活では知ることや体験することのできないような事に触れることができて、大変勉強になりました。これからさらに水鳥についてもっと学びたいとさらに思うきっかけとなりました。

写真_神野.JPG
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