2024年度の黒田賞と中村司奨励賞の受賞者、および津戸基金による助成対象シンポジウムが決定しました

基金運営委員会

基金運営委員会の選考報告を鳥学通信に再掲します。

黒田賞は、日本の鳥学会の発展に貢献した黒田長禮・長久両博士の功績を記念して、鳥類学で優れた業績を挙げ、これからの鳥類学を担う若手・中堅会員に授与する賞です。今年度の黒田賞は森口紗千子さん(日本獣医生命科学大学 獣医学部 野生動物学研究室)に決定致しました。

https://ornithology.jp/iinkai/kikin/kuroda_award.html#kuroda2024

9月13日から始まる2024年度大会において受賞記念講演が開かれます。
黒田賞受賞記念講演 (Winner of the 2024 Kuroda Award presentation)
9/15日(日) 14:30〜15:30 A会場 (弥生講堂一条ホール)

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中村司奨励賞は、国際誌に優れた論文を発表し、将来の鳥学会を担うことが期待される若手会員に授与する賞です。今年度の中村司奨励賞は飯島大智さん(東京都立大学大学院 都市環境科学研究科)に決定致しました。

https://ornithology.jp/iinkai/kikin/2024_nakamura.html

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津戸基金は、日本の鳥学発展のために寄付された寄付金の運用のために設立されたもので、鳥学に関するシンポジウムの開催を助成する基金です。今年度は、風間美穂さん(きしわだ自然資料館)から申請のあった「大阪湾・海鳥っぷシンポジウム・この鳥を見よ」を助成対象として決定致しました。

https://ornithology.jp/iinkai/kikin/2024_tsudo.html

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企画展「山階芳麿博士の作った図鑑」の紹介

小林さやか(山階鳥類研究所)

連日暑い日が続いておりますが、猛暑の中でも楽しめる企画展をご紹介いたします。

現在、我孫子市鳥の博物館では、山階鳥類研究所(山階鳥研)我孫子移転40周年を記念した企画展「山階芳麿博士の作った図鑑 —『日本の鳥類と其の生態』ができるまで—」を開催中です。

我孫子市鳥の博物館
展示の様子

山階鳥研の創設者・山階芳麿博士は、1934年と1941年に『日本の鳥類と其(そ)の生態』全2巻を出版しました。この図鑑は「山階図鑑」と呼ばれ、日本の鳥の三大図鑑のひとつと称されています。出版から90年が経った現在でも鳥類の研究をする多くの人達に活用されています。本展示では、山階図鑑の原稿、原画、この図鑑の挿し絵に使われた木口木版(こぐちもくはん)画の版木や摺り見本など、普段は公開していない山階鳥研の資料の展示や、山階博士をはじめ図鑑制作に関わった人達を紹介しています。

本展示は見る方の関心によってさまざまな楽しみ方ができます。日本の鳥類図鑑の歴史を紹介している点、山階図鑑の制作過程を資料で紹介している点、山階博士と同世代に活躍した鳥類学者を紹介している点などが挙げられますが、私がお勧めしたいのは、博物画家の小林重三(しげかず)や、山階壽賀子(すがこ)夫人の原画やスケッチ、それと、現在では希少となった技法の木口木版画の紹介です。

小林重三は、鳥類図鑑の制作を計画していた鳥類学者の松平頼孝(まつだいら・よりなり)に雇われ、松平邸で標本や飼育の鳥の写生をして腕を磨いていましたが、松平家の財政が厳しくなったことで、小林は失業してしまいました。しかし、小林の鳥類画の腕の良さから、山階博士はじめ、黒田長禮(くろだ・ながみち)、鷹司信輔(たかつかさ・のぶすけ)、蜂須賀正氏(はちすか・まさうじ)、清棲幸保(きよす・ゆきやす)など多くの鳥類研究者が小林に鳥類画を頼みました。日本の三大鳥類図鑑と言われる、通称、黒田図鑑、山階図鑑、清棲図鑑の絵は小林が手がけています。

本展では、小林の紹介のところに、蜂須賀正氏の著書「The Dodo and Kindred Birds」(1953)のために小林が描いた絶滅鳥モーリシャスインコの原画が展示されています。この原画は今回が初公開となります。

蜂須賀は「The Dodo and Kindred Birds」の原稿をイギリスの出版社に送った後、出版された本を見ることなく急死してしまいます。このような事情もあり、この絵は出版後、所在不明となっていましたが、熱海の蜂須賀別邸に勤務していた方から2018年に熱海市立図書館に寄贈されていたところ、2021年に小林重三研究の第一人者である園部浩一郎さんらが小林の原画であることを見出しました。本展示のため、熱海市立図書館へ絵をお借りしに伺ったのですが、なんと、小林が小林館長から小林の絵をお借りするという事態が起こりました。蜂須賀はエピソードの多い人生をおくった人でしたが、こんなところにもエピソードを作ってくれたのかしら、と思ってしまいました。

また、山階図鑑の特徴のひとつである木口木版画は、とても精密な線を再現できる技法で、小林の原画を版画で忠実に再現しています。原画と版画を比較できるように並べて展示していますので、今はもういない彫り師という職人がいた時代の、その技術の高さをぜひ間近で見ていただきたいです。

そして最後のお勧めポイントは、記念スタンプの鳥ちゃんです!山階図鑑の背表紙に描かれた鳥のデザイン画がおしゃれなので、どこかに使ってほしい、と希望したところ、博物館で記念スタンプを作ってくださいました。展示を見終わったところに置いてありますので、忘れずにスタンプを押して帰ってください。

企画展記念スタンプ
企画展記念スタンプ

本企画展は、11月4日まで開催しています。1カ月ごとに原画類を入れ替えますので、何度も足を運んで見てもらえれば嬉しいです。展示品は鳥の博物館のサイトから出展目録をチェックしてください。8月16日まではあちこちに「カンムリツクシガモ」が展示されているので、ぜひ探してみてください。

開催中のイベントなどは我孫子市鳥の博物館のサイトをご覧ください。

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世界自然遺産・知床における携帯電話基地局と太陽光パネルの設置計画の中止を求める意見への賛同について

鳥類保護委員会

標記の件につきまして、令和6年6月19日付で日本環境会議(JEC)より世界自然遺産・知床における携帯電話基地局と太陽光パネルの設置計画の中止を求める意見書が発出されました。日本鳥学会では、本意見書の趣旨に賛同することを表明しました。

世界自然遺産・知床における携帯電話基地局と太陽光パネルの設置計画の中止を求める意見への賛同について

 

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我孫子市鳥の博物館 第93回企画展「山階芳麿博士の作った図鑑」のお知らせ

我孫子市鳥の博物館・山階鳥類研究所

我孫子市鳥の博物館 第93回企画展 「山階芳麿博士の作った図鑑」

山階鳥類研究所の創設者、山階芳麿博士が出版した「日本の鳥類と其の生態」の制作経緯、関わった人達などを紹介する展示を、我孫子市移転40周年記念として、我孫子市鳥の博物館で開催しています。

山階鳥類研究所からは、普段は公開していない図鑑の原稿、原画、木口木版画の版木などを、また、博物画家・小林重三の初公開原画もお借りして展示しています。ぜひお越しください。

我孫子市鳥の博物館 第93回企画展
「山階芳麿博士の作った図鑑」ー『日本の鳥類と其の生態』ができるまでー

【日時】2024年7月13日(土)〜11月4日(月・祝)
※一部展示の入れ替えがあります
前期:7月13日(土)~8月16日(金)
中期:8月17日(土)~9月20日(金)
後期:9月21日(土)~11月4日(月・祝)
【会場】我孫子市鳥の博物館
【入館料】一般300円、大学・高校生200円

 

イベント情報(詳細は鳥の博物館ウェブサイト


●鳥博セミナー「もう一つの木版画 木口木版画・西洋と日本の歴史と技法 山階図鑑のイラストに使用された版画」

日時:9/22(日) 13:00~15:00
場所:鳥の博物館定員:先着50名(電話予約)講師:長島 充さん(画家・版画家)
内容:木口木版画の技法や西洋・日本での歴史についてお話しします 。また版画の実演も行います。


●鳥のサイエンストーク「山階図鑑とはどういうものだったのか」

日時:8/17(土) 13:30~14:15
講師:鶴見みや古さん(山階鳥類研究所)オンライン開催・申し込み不要・参加無料


●企画展を担当した山階鳥類研究所所員によるギャラリートーク

日時:8/31(土)、10/6 (日) 13:30~14:30
場所:鳥の博物館企画展示

展示のチラシは以下から↓
https://www.yamashina.or.jp/hp/event/images/202404torihaku_kikaku93_paper.pdf
我孫子市鳥の博物館のwebサイト↓
https://www.city.abiko.chiba.jp/bird-mus/
山階鳥研のイベントページ↓
https://www.yamashina.or.jp/hp/event/event.html#torihaku_kikakuten93

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【署名ご協力のお願い】苫東厚真風力発電事業に対する事業中止要望について

澤 祐介(鳥類保護委員長)

日本鳥学会では、学会員の提案に基づき、鳥類の保護や生息環境の保全などに関する意見書・要望書等を提出しています。

日本鳥学会は、苫東厚真風力発電事業(以下、本事業と記載)に対し、風車の建設計画を中止も含めて全面的に再考するよう要望する(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する意見書(2020年11月1日付、鳥類保護委員長名)、続けて、事業の中止を求めた(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する事業中止要望書(2021年11月25日付、日本鳥学会長名)を提出してきました。しかし、日本鳥学会だけでなく、日本生態学会日本野鳥の会など、複数の団体からも同様の要望があったにも関わらず、本事業は現在、環境アセスメントの調査・予測・評価が終了し、準備書の手続きに入る段階にまで進んでいます。

本事業に対し、日本鳥学会が要望書提出時に共同記者発表を行った地元の市民団体「ネイチャー研究会inむかわ」が、タンチョウの営巣地保護を主眼とした事業中止を求める署名活動を開始しました。多くの希少種が生息する貴重な自然環境の保全にむけ、ご賛同頂ける方は、ぜひ署名にご協力ください。

■ 署名方法

オンライン署名

書面による署名

※お問い合わせは、書面による署名のpdfに記載のネイチャー研究会in むかわまでお願いします。

関連情報

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博物館で鳥を観る −開催中の特別展・企画展のご紹介−

遠藤 幸子(広報委員)

みなさん、こんにちは!
夏鳥が続々と渡ってきている、今日この頃。ゴールデンウィークに鳥の観察や調査に行くことを予定されている方も多いのではないでしょうか。

そんな野外活動の誘惑が多い季節ではありますが、今回は開催終了が迫っている鳥が登場する特別展と企画展を2つご紹介したいと思います。

まずは、北九州市立自然史・歴史博物館(いのちのたび博物館)で開催中の
春の特別展「カラーズ 〜自然の色のふしぎ展〜」です。
特設サイト:https://2024colors.jp/

こちらの特別展では、さまざまな標本を見ながら、生きものの「色」の謎に迫ることができるのだそう!開催は2024年5月6日(月)まで。ちなみにこちらは、以前鳥学通信に記事を書いてくださった鳥学会員の中原さんが主担当として関わられている展示です。
関連記事:https://ornithology.jp/newsletter/articles/638/

次に、神奈川県立 生命の星・地球博物館で開催されている
企画展「動物のくらしとかたち -籔内正幸が描いた生態画の世界-」です。
企画展ウェブサイト:
https://nh.kanagawa-museum.jp/www/contents/1696383531035/index.html

動物画家 籔内正幸さんの作品を絵本や図鑑などでご覧になったことがあるという方は多いのではないでしょうか。上記のウェブサイトには、企画展で展示されている籔内さんの作品リストを含む展示内容が詳しく掲載されています。開催期間は2024年5月12日(日)までです。

詳しくは、それぞれのウェブサイトをご覧ください。

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一般社団法人日本鳥学会が設立されました

嶋田哲郎(法人化検討WG代表)

日本鳥学会は、明治45年(1912年)5月3日に第1回の会合がもたれ発足し、その3年後には学術雑誌「鳥」が創刊されました。日本鳥学会は創立以来、日本における鳥類分野でただひとつの学会として、さまざまな活動をくりひろげてきました。さらなる鳥学の発展及び学会基盤の確立と将来的発展を確保するために、2024年1月4日に登記を終え、一般社団法人日本鳥学会が設立されました。

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英文誌「Ornithological Science」のペーパーレス化開始のご案内

>>下記お知らせのPDF版はこちら

日本鳥学会2023年度大会総会では、英文誌「Ornithological Science」のペーパーレス化についてご承認いただき、誠にありがとうございました。総会資料では検討中となっていた項目を含めて、改めて詳細な検討を行い、最終方針を決定いたしました。以下の通り、ご案内いたします。

・英文誌ペーパーレスの開始時期について
2024年1月以降に出版される23巻1号より開始いたします。

・今後の印刷部数について
総会でご提案した通り、今後は50部のみ冊子の印刷・郵送を継続いたします。これにより、現在の1400部を印刷・郵送した場合と比較して、約60万円の支出削減を見込んでおります。50部の内訳は、事務局等の保管用が5部、寄贈が5部、希望する団体会員への配布が20部、書店販売が5部、その他15部を想定しています。今後、実際の配布部数を見ながら、印刷部数を調整する可能性もございます。

・団体会員について
団体会員の皆様には、二つの選択肢がございます。どちらも追加費用はございません。
1.これまで通りの冊子の郵送(ご連絡が必要)
2.冊子を郵送しない代わりにJ-STAGEのID/パスワードの付与(ご連絡は不要)
1番(英文誌の冊子)を希望される場合、お手数ですが2023年12月31日(日)23:59までに必ず以下の宛先にご連絡ください。期限内にご連絡がない場合、2番の扱いとさせていただきます。2番を希望される方のご連絡は不要です。印刷部数には限りがありますので、想定部数を超える申し込みがあった場合は、先着順での対応とさせていただきます。

連絡先:katayama6@affrc.go.jp または 029-838-8253(事務局 片山)
件名「英文誌冊子希望(団体名)」、本文は空で構いません。できるだけメールでのご連絡をお願いいたします。

・一般会員について
J-STAGEではこれまで通り、学会員は各自のID・パスワードを使ってログインすることで、論文PDFを閲覧およびダウンロード可能です。なお非会員は公開二年後に論文PDFが閲覧およびダウンロード可能です。年内に、学会員一斉メール(メールアドレス未登録者には郵送)にてID・パスワードを再度ご連絡する予定です。この機会に、ぜひご自身の「マイページシステム」からメールアドレスの登録または更新をお願いいたします: https://mypage.sasj2.net/site/osj/login

一般会員の皆様には、できるだけペーパーレスへのご協力をお願いいたします。英文誌の冊子を強く希望される方は、2023年12月31日(日)23:59までに以下の宛先にご連絡ください。残部がある場合のみ、先着順で対応いたします。また年間3,000円の追加費用が別途必要となります(支払方法は別途ご案内いたします)。
※上記期限後に申込みをされる場合、印刷費用が別途かかるため、これまでの都度購入と同じ価格(1冊2500円・年間5000円)となりますので、くれぐれもご注意ください。

連絡先:katayama6@affrc.go.jp または 029-838-8253(事務局 片山)
件名「英文誌冊子希望(個人名)」、本文に「振込予定日」を書いてください。できるだけメールでのご連絡をお願いいたします。

・雑誌の寄贈および交換について
国外との交換については、図書管理委員らと協議を行った結果、英文誌・和文誌の国外郵送を停止いたします。その際、今後も鳥学会誌及びOSを閲覧していただけるよう、二年後にはJ-STAGEで全ての論文が無償公開されることを案内いたします。
※現在、国外の28団体と交換を行っていますが、学会誌を送付する団体は年々減少し、現在は9団体のみとなっています。これらの学会誌に入手困難なものは含まれず、会員へのメリットは少ないのが現状です。

国内への寄贈については、各団体へアンケートを行った結果、5団体へはこれまで通り冊子の郵送を継続いたします。この他の団体については、郵送を希望しなかったため、停止いたします。

なお、今回の雑誌交換の停止にともなう図書管理委員の規定改定は行いません。今後、何かしらの理由で雑誌を交換する必要性が生じた場合に対処するためです。

・カラー図の無償化について
これまで著者負担だった英文誌のカラー図ですが、今後は無償でご利用いただけます。カラーの図を希望される方は、論文を投稿される際にカラーの図をお使いください。なお、和文誌はこれまで通り著者負担となりますので、くれぐれもご注意ください。

・別刷りの扱いについて
著者への別刷り30部の無料配布は廃止とし、著者が直接印刷会社に依頼注文する形に変更させていただきます。依頼方法については、論文投稿システムを用いて著者らに直接案内いたします。

・査読協力者への御礼について
これまで、和文誌・英文誌ともに査読協力者の皆様には、お礼として別刷り無料権(50部)を進呈していました。今後は、査読協力者の皆様には「和文誌の別刷り無料権(50部)」を進呈いたします。英文誌の別刷り無料権は廃止といたします。申し訳ございませんが、ご理解いただけると幸いです。

・SNS等での新着論文の宣伝について
英文誌の新着論文については、多様な媒体(学会HP、一斉メール、鳥学通信、SNS等)を用いて積極的な情報発信に努めます。その際、タイトルと要旨の日本語訳も添えるよう努めます。ただし、これらの作業には各委員会委員(主に広報委員会)の作業負担が増えることが想定されるため、アルバイト等の負担軽減策の導入を前提とさせていただきます。できるだけ早期の導入を目指しますが、現時点では導入時期は確定していません。また必要な予算も計算中です(年2~3万程度を想定しています)。

・英文誌の表紙絵は今後もJ-STAGEに掲載される予定です。現時点での変更予定はありません。

・今回のペーパーレス化にともなう学会年会費の変更等はありませんが、今後も会員サービスの維持・向上に努めてまいります。何卒ご理解いただけますと幸いです。

(2023年12月7日 英文誌ペーパーレス検討グループ)
(2023年12月19日 エンバーゴ期間を修正)

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企画展「猛禽」のご紹介

我孫子市鳥の博物館
望月みずき(旧姓:小島)

皆さまこんにちは、鳥の博物館学芸員の望月みずき(旧姓小島)です。今回は、鳥の博物館で開催中の企画展「猛禽−タカ・フクロウ・ハヤブサ−」を少しご紹介させていただきたいと思います。

企画展では、猛禽類の進化系統・生態系での役割などの話や、タカ目・フクロウ目・ハヤブサ目のそれぞれの獲物を捕らえることに特化した狩人としての生態・体のつくりの秘密、また身近な猛禽類の識別など、標本を交えてご紹介しています。

IMG_4347_広報写真_1面.jpeg

本企画展の目玉展示の一つは、フクロウとシマフクロウの翼標本の比較展示です。シマフクロウは日本最大のフクロウで、翼を比べてみるとその大きさの違いは一目瞭然です。更にフクロウは静かに飛んでネズミ類などを捕らえるため、翼の前縁部には消音効果のある鋸歯構造(セレーション構造)がありますが、シマフクロウは魚食性のため鋸歯構造はありません。翼を閉じている剥製ではなかなか観察することの出来ない部位なので、翼標本でぜひ見比べてみてください。

IMG_4353_シマフクロウ翼.jpeg
フクロウ(左)・シマフクロウ(右)の翼標本

今回の企画展では一部の標本を3Dデータ化し、webでも公開しています。(下記URL)

https://sketchfab.com/torihaku

展示ではガラスケースがあるため片側からしか標本を見ることができませんが、3Dデータでは様々な角度から自由に見ることができるほか、拡大して細部を見ることもできます。企画展に来られない遠方の方でも3Dデータは閲覧できますので、ぜひご覧ください。

鳥博sketchfab3Dデータ.png

最後に、企画展は11月5日(日)までとなっています。ジャパンバードフェスティバル(JBF)が開催される11月4日、5日は入館無料となりますので、ぜひ皆さまお越しください。

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日本鳥類目録第8版出版予定の延期について

※本記事は鳥類目録委員会Webページからの転載記事です.<https://ornithology.jp/iinkai/mokuroku/index.html#20230810>
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目録編集委員長

 今春の第2回パブコメと今年9月の目録出版を目指して来ましたが、それらが予定通り実施できず、また見通しを今日までお示しできずにいたことをまずはお詫び申し上げます。

 国内の種・亜種についての分類と生息分布・記録について、それぞれ鳥類分類委員会と日本産鳥類記録委員会で各委員が情報収集、検討、整理を行うとともに、随時Web会合やメールで審議をおこなってきました。目録編集委員会ではWebでの会合を今年度は既に4回開催して検討を続けております。しかし、世界での分類成果とリストの精査、全国各地の協力員から寄せられた分布記録の整理、ともに情報量が膨大であり、委員各自がそれぞれの仕事を抱え、また研究・調査を行いながらの作業でもあるため、予想以上に時間がかかってきました。

 第2回パブコメの開始について、上記の理由によりこれまで見通しを立てられずにおり、会員と関係者の皆様には大変ご迷惑をおかけしてしまいました。しかし、作業の進展により、ようやくリスト化の目途が立ってきました。この9月の金沢大会での自由集会において、目録のリスト案を示すとともに編集の状況と第2回パブコメについて説明し、参加者との意見交換をおこないます。そして、9月中に日本産種・亜種の和名・学名リストを公表し、10月中には分布を含む暫定リストを公表して第2回パブコメを開始し、パブコメで寄せられたご意見と情報によって原稿を修正して2024年9月の出版をおこなうことを決定しましたのでお知らせさせていただきます。

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