鳥学会前会長上田恵介先生の受賞
鳥学会の前会長の上田恵介先生が、今年度4月に、「みどりの日」自然環境功労者環境大臣表彰者(調査・学術研究部門)に選ばれました。
http://www.env.go.jp/press/102398.html
また、先月末に、第19回山階芳麿賞が贈呈されることが決定しました
http://www.rikkyo.ac.jp/news/2016/06/17913/
日本鳥学会および鳥類学に関する記事を配信しています
鳥学会の前会長の上田恵介先生が、今年度4月に、「みどりの日」自然環境功労者環境大臣表彰者(調査・学術研究部門)に選ばれました。
http://www.env.go.jp/press/102398.html
また、先月末に、第19回山階芳麿賞が贈呈されることが決定しました
http://www.rikkyo.ac.jp/news/2016/06/17913/
自然史学会連合をご存知でしょうか。「聞いたような気もするけど、よく知らない」「総会の決算報告で聞く、毎年分担金を払っている団体でしょ」というような方が多いのではないでしょうか。前任の西海さんに代わって、1月からこの連合の鳥学会代表を務めることになりました。この機会に、連合を紹介したいと思います。
自然史学会連合は、鳥学会など生物の分類群ベースの学会や、生態学会・行動学会のような学問分野ごとの学会、また地質関係の学会など、自然史科学関連の39学協会
http://ujsnh.org/societies/index.html
が加盟している連合体で、日本学術会議の協力学術研究団体の一つです。学会の間をつないで自然史科学の振興を図り、研究教育態勢の改善を目指すというのが、設立の理念です。
http://ujsnh.org/about/philosophy.html
設立理念の中には、「自然の正しい理解とその普及が人間教育とこれからの社会にとってきわめて重要」、また自然史研究の成果は「細分化された専門分野を横断した協力と総合によって得られる」と書いてあります。かつての役員の一人(小汐千春)は、「自然界の理解や自然観の形成に役立つということは、『文化』への貢献という点で非常に重要である。私たちの行っている科学とは、まさに『文化としての科学』なのである」と述べています。文化としての自然史科学が健全に育つよう社会に情報発信していくのが、連合の目指すところだと言えましょう。
http://ujsnh.org/activity/essay/useful.html
「なかなかいいことを言っているではないか」と思ってくださった方も多いことと思います。実際、運営に関わってみると、見識が高く、また仕事の速い人が多くて、舌を巻いています。
さて、その仕事の中身ですが、最近の仕事で特筆すべきなのは、「理科好きな子に育つ ふしぎのお話365」という一般書の刊行です。
https://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=4478
鳥学会員で協力した方もいますが、タイトルの通り、39学会の力が結集された力作です。この本は、第63回産経児童出版文化賞(JR賞)を受賞しました。
また、毎年、講演会を行っています。これは全国各地の博物館などを会場に行われているもので、鳥学会員で講演をしたり、協力したりした方もいると思います。
http://ujsnh.org/sympo/index.html
今年度は、詳細未定ですが、群馬県立自然史博物館で2017年1月21日(土)に行われます。
そのほか、自然史科学に関わる各種シンポ、イベントの後援、声明や要望書の提出などを行っているほか、近年は博物館学芸員資格の問題*についても情報交換がされています。
ぜひ一度、自然史学会連合ホームページをご覧下さい。
http://ujsnh.org/
* 学位を持っていても学芸員資格を持っていないと博物館に就職できない場合が多いことや、学芸員資格を得るための授業で自然科学が軽視されている問題などが指摘されています。
私は島根大学の陸水学(湖沼学)の研究室で、水鳥(ガンカモ類とカワウ)が飛来する湖沼の水質について研究し、学位取得後、鳥や水質を観察したり分析したりまとめたりと研究中心の生活を送って参りました。しかし、今年から、主に鳥など生き物をモチーフにしたアクセサリーの制作・販売を中心とした生活スタイルへ転向しました。これまで培ってきた鳥類学と関係なくなるのは寂しいので、鳥の知識を生かしたアクセサリーを作り、その結果、鳥類学の普及に少しでも貢献できればと考えています。
【くるみボタンと鳥モチーフの生地】
一言にアクセサリーと言っても様々です。絵も描けないデザインも学んでない私が見つけたのは、くるみボタンを使うことでした。くるみぼたんとは、木または金属の芯を布や革で包んで作ったボタンです。その昔、コートなどに多用され大流行しました(懐かしがる方年配の方も多いです)。専用の打具と好きな生地で簡単に作ることができます(写真1)。
ということは、(意匠権のない)素敵な既成の生地を見つけてくれば良いわけです。しかし、このままだと、ボタンなので、一工夫して、アクセサリー金属を付けれるようにボタンの裏側を改良しています(写真2)。
肝心の生地探し。鳥モチーフの生地を探し歩くと沢山存在します。それらは、主に「国内在来種」、「国外在来種」、「外来種」、「家禽」、「漠然と鳥(以下「トリ」とします)」と分けることができました。数でいうと「家禽」と「トリ」が多く、「在来種」は少なく、種も偏っています。残念であります。しかも「ちょっと鳥を知ってしまったばっかりに発生する違和感」を感じさせるものも少なくありません。残念であります。でも、そこは妥協せず、違和感のないものを選択しています。ただし、どうにも色やデザインで許してしまうものも。また、「家禽」と「トリ」はどんなデフォルメされていてもあまり気になりませんまた、日本古来の家紋柄。こればかりは似てなくても許すしかありません。完成してます。包み屋厳選の既成の生地の鳥モチーフを一部紹介します(写真3,4)。
ということで、既成の生地から制作した商品には、これらの分別が分かるように販売したく、まず、野生種と家禽を区別することを知ってほしいなぁ、と願うわけです。
【包み屋オリジナル鳥モチーフ】
既成の生地だけではやはり面白くない。もっと店の特長をださねば。と、ひねり出したのが、「鳥配色ストライプシリーズ」と「鳥羽模様シリーズ」です。「ストライプシリーズ」は、ある種の配色に使われている色をただただならべてストライプにしたものです(写真5)。何の種類から作ったストライプかわかりますか?これはカワウ(左)とオナガ(右)です。また、「鳥羽模様シリーズ」は鳥の体の一部の模様をアップにした写真から作ります。只今写真集め中です。例えば、シギの虎模様とか。一見、鳥とわからなくて、鳥を知らない方が「柄としてきれい」と思ってもらえれば、鳥を知ってもらう機会が増えるのではないか、また、鳥に詳しい方にもクイズみたいで楽しんでもらえるのでは?と考えました。
最後に、すべての商品について季節感を感じてもらいので、国内在来種に関しては、その種が日本にいる時にだけ販売を試みてます。かーなり外堀からですが、アクセサリー販売から鳥類学の普及はなくはないのではと思っています。
ご自身の研究対象種の素敵なアクセサリーがないと、お悩みの方、写真やイラストからオーダーメイドでアクセサリーを作ることが可能です(写真6)。興味のある方はこちらにご一報ください。
2016年、鳥学の新たな歴史が始まります。
新賞「日本鳥学会ポスター賞」の誕生です。
今年は、記念すべき第一回目の賞を得る未来永劫唯一のチャンスです。この栄誉に向け、多数の応募をお待ちしております。
いや、過去にもポスター賞があったではないかというご意見もありましょう。確かにその通りです。しかし、これらは各大会の事務局により独自に運営されたものでした。これからは、鳥学会公認の正式な賞として毎年の募集が決定したのです。
賞の最大の目的は、若手の独創的な研究を奨励することです。ここで鳥学の魅力を語ることは、釈迦に説法、孔子に論語、文明堂にカステラの美味を説くような愚行ですので、あえては申し上げません。賞の新設により、この魅力あふれる鳥学の将来を担う若手を、学会として応援したいと考えているのです。
当たり前の話ですが、賞の主役は授与する側ではなく応募者です。まだ実績が少なくとも、オリジナリティの高い研究を展開する若人の参加をお待ちしております。100年の歴史を持つ鳥学会に未来の歴史を紡ぐのは、他の誰でもない皆さんなのです。
さて申し上げにくいことですが、目的に照らし応募資格を30歳以下に限定させていただきました。この点を平にご容赦下さい。若い若いと思っていても、月日の流れは速いものです。資格のある方はお早めに!
詳細は特設サイトをご覧下さい。
では、鳥学会大会の授賞式でお待ちしております。
鳥学会大会の口頭発表において、昔と違った慣習が広まり始めているのを感じる。何かといえば、口頭発表の発表に対して質問をする際、所属と名前をいう人が増えてきたということだ。たとえば、「○○大学の○○です。おもしろい発表をありがとうございました。ところで・・・」と質問を始めるのである。
私の気のせいでなければ、昔は、所属や名前を言うことはなかったように思う。そもそもなぜ、それを言う必要があるのだろうか。同じような疑問を持つ人はいるようで、ネットでみると、さまざまな意見がある。以下は、さまざまな分野の学会の方の意見を集約したものである。
名前と所属を言うのに肯定派の意見
・発表者は、所属と名を明かしているのだから、質問者もそれらを明かすのは礼儀。
・名乗ってもらうことで今まで論文でしか知らなかった研究者の名前と顔が一致するので、学術交流の場として学会を機能させる助けになる。
・名乗ることで、質問者をセレクションにかける(質問者にも覚悟をもってもらう)。
・発表者が質問者に連絡をとりたいことがあるので便利。
・セッション報告を書く人が後で困らない。
・妙な質問をする人を司会者がブラックリスト扱いできる。
否定派の意見
・知りたいのは質問の内容だから、そんなことに時間をかけず本題を早く言って欲しい。
・所属を言うのは、権威づけになってしまう。
・科学の質問には、所属や上下関係は不要だ。
中間派の意見
・所属は要らなくて、名前だけでいいのでは。
「セッション記事をまとめないといけない」ような場合は、名乗りは有用だろうし、また学会によっては、「所属と名前を言ってから質問してください」と、決まっているところもあるようだ。純粋科学の分野の学会ほど、このあたりがいい加減らしく、「物理が一番ひどく、次に生物系がひどく、対して化学、工学、薬学、医学などは、きっちりしている」という意見も見られた。私は他の分野をよく知らないが、個人的経験からいえば、生物系においても、遺伝や発生関係の学会などは、わりかしきっちりしていたような記憶がある。
鳥学会に関してどうかというと、「名乗り」は少なくとも20年位前までは不要だったのだろう。規模が小さく、みんな顔見知りだからである。だが、学会の規模が大きくなってきて、そうも行かなくなってきたし、いろんな学会を経験している人が増えてきたので、「名乗り」をする人が出てきたのだろう。
私、個人の意見としては、質問時に所属や名前を言わない方が良いと思っている。なぜなら、私にとっては、誰が質問したかはどうでもよくて、発表内容やそれに対する答えを知りたいからである。それに、1つでも多くの質問、解答があると良いと思う方だからである。
実際に「名乗り」に、どれくらい時間をとられるかを、試しに言ってみると8秒ほどかかることがわかる。おおむね2分(120秒)の質問時間のうち6%を占める。2人が質問し、両者とも所属と名前をいえば、2分間の12%も占めてしまう。消費税の8%でも大きいと思うのに(でも、しかたないとも思っている)、12%は多すぎる。それから杞憂かもしれないが、所属が無い人の中には、質問をしにくくなっている雰囲気があったりしないだろうか。
このように、個人的には、「名乗り」は無い方が良いというのが本音のところだが、名乗りたいという人を規制するつもりはない。ただ、学会としては決めておいて欲しい。「そういったことに、決まりごとは作らない」と。
質問における「名乗り」は無い方がいいと言っておきながら、教員の立場として学生に指導する場合には名前を言うように義務付けている。なぜなら「名乗りが必要無い」と感じる人は、それがあっても許容できるが、「無ければ失礼にあたる」と感じている人にとっては、許容できないだろうからである。学生は、いろんな分野にいく可能性があるので、安全策を教えているわけだ。
「名乗り」の話をしたので、ついでに、拍手の話もしておこう。鳥学会の大会においても、発表の後に拍手がある年とない年があるのをご存知だろうか? 同じ年でも、A会場とB会場によって拍手があったり、なかったりすることもある。私の知っている先生は、拍手は「ブラボー」の意味だから、本当にいい発表のときだけすべきだ、とおっしゃっている方もいた。こういう違いを見るのも、大会の楽しみの一つかもしれない。
さて、いろいろ書いたが、この文章の目的は何かといえば、「こんなくだらないことでも掲載して構わない」ということです。あっ、遅くなりましたが、私は、2016年1月から、広報委員長になりました。基本、社会的に問題があるような発言でなければどんどん掲載していく予定でいます。固い意見は、日本鳥学会誌のフォーラムがありますので、そちらに集約し、こちらの鳥学通信では、もう少しやわらかい、または、即時性の必要な情報を掲載していこうと思います。
内容はなんでもかまいません。
自著の宣伝、自分の研究紹介、鳥学に関する行事連絡、技術的なこと、研究室紹介などなど。
みなさまからの原稿お待ちしております。
寒いですね。ぼくにとってはフィールドワークがいちばん忙しい時期なのですが,普通の人は,家や研究室にこもって論文読んだり,論文書いたり,デスクワークしている時期なのではないかと思います。
そこでちょっと,バードリサーチの出版物をご紹介。デスクワークの合間に読んでみてください。
研究誌 Bird Research
まずは学会員の皆さんのニーズの一番高そうな論文誌から。その名もBird Research。
ぼくは日本鳥学会誌の編集にも関わっているので,「投稿して!」とは言いにくいのですが,ぜひ,読んでみてください。最新号はバードリサーチの会員でないと全文は読めませんが(要約は読めます),2014年に発行した10巻以前の論文はどなたでも読むことができます。
ダウンロード数の多い人気の論文は人気順に
1. 森林におけるスポットセンサスとラインセンサスによる鳥の記録率の比較
2. 全国規模の森林モニタリングが示す5年間の鳥類の変化
3. 最近記録された日本における野生鳥類の感染症あるいはその病原体概要
4. 近年建てられた住宅地におけるスズメの巣の密度の低さ
5. 日本に生息する鳥類の生活史・生態・形態的特性に関するデータベース
といったところです
いろいろな論文が掲載されていますが,他誌と違う特徴としては調査手法に関する論文や,個体数の増減に関する論文が多いところかなと思います。
http://www.bird-research.jp/1_kenkyu/
生態図鑑
次にご紹介するのは,それぞれの種を研究している研究者の方々に執筆してもらっている生態図鑑です。
これまでに129種掲載されています。姿かたちや大きさといった,普通の図鑑にあるような記載もありますが。この図鑑のウリは,研究者の皆さんが自身で研究した興味深い生態や保護上の課題などについて書いていることです。
論文になっている情報はもちろんのこと,まだ論文になっていないことも書いてあります。現鳥学会会長も前会長も執筆してます。執筆者もそうそうたるメンバーです。このサイトをみるような人なら,きっと気に入ってもらえると思います。
http://www.bird-research.jp/1_shiryo/seitai.html
このコンテンツは無料ではありません。バードリサーチ普通会員以外の方の購入は2000円です。「読みたいけど,そんなに払いたくないなぁ」お気持ちわかります。ぼくもケチと呼ばれる一族ですから。そんなあなたに朗報。執筆いただけたら,ダウンロード権が手に入ります。それも未来永劫。まだ書かれていない種のうち「この種ならかけるよ」という方,ぜひ,植田までご連絡ください。
そのほかにニュースレターも発行しています。こちらから概要を読むことができます。
http://db3.bird-research.jp/news/
また,バードリサーチのホームページには以下のコンテンツもありますので、ぜひ訪問ください。
鳴き声図鑑
http://www.bird-research.jp/1_shiryo/nakigoe.html
鳴き声識別練習ページ
http://www.bird-research.jp/1_shiryo/koeq/
暮れも押し詰まり、いよいよあと少しで新しい年の始まりです。私の任期もあと数時間ですが、この場をお借りして、一言、ご挨拶を申し上げます。
会員の皆さま、この2年間、どうもありがとうございました。去年はIOCがあったので、学会のことをあまりじっくり考えるヒマもなく、1年が過ぎてしまいました。今年も大したこともできないまま、あっという間に過ぎてしまいました。
しかしいまあらためて鳥学会を眺めてみると、私や上の世代はもうほとんど運営メンバーにはいなくて、評議員会も各種委員会も、若い方々が活発に活動しています。この2年間、たしかに短い期間でしたが、私が会長をしたことで、少しは学会の若返りに弾みをつけることが出来たかなと思います。選挙制度の改革は、プロセスに少しごたごたがありましたが、それなりに新しい制度が発足し、新会長が民主的に選出されたことは喜ばしいことです(今後、毎回、複数の立候補者が出て、会長選挙が活発になるとうれしいのですが)。
大会規則の改定と若手向けの賞の創設もしたかったのですが、どうも私の段取りの悪さで、来年度に持ち越してしまったことについてはもうしわけなく思っています。西海新会長、どうかよろしくお進めください。
つい先日、元会長の山岸哲さんとお話ししました。「なんで鳥学会に出てこないんですか」という私の問いに、自分が出て行くと、どうしても若い人たちが発言を遠慮してしまうので、学会の運営にはよくないとおっしゃっていました。私も学会運営には今後は関わりませんが、研究は続けるので,若い方々に負けないようないい研究発表をしようと考えています(ポスター賞も年齢制限がなければ狙おうと思っていたのに・・・)。もちろん、私でお役にたてそうなこと(論文査読とか)はいくらでもお手伝いしますので、お申し付けください。
では、西海新会長と早矢仕副会長、新評議員のみなさま、それから山口事務局長と新しい事務局メンバーの皆さん。あとはお任せしますので、よろしくお願いします。
よいお年を。
会員の皆様には、日本鳥学会誌の論文の投稿や査読等でお世話になっております。
和文誌編集委員会では、今年から来年にかけて新しい試みをいくつか始めます。すでに開始しているものも含めて、まとめて紹介いたします。これからも、和文誌をより良い雑誌にしていけるよう会員の皆様からのご協力をいただければ幸いです。
1.日本鳥学会誌への投稿の際に共著者からの投稿の同意書が必要になりました。
すでにホームページ等でお知らせしていますように、責任著者は、和文誌への論文投稿の際に、共著者全員から投稿への同意が得られていることを示す同意書が必要になりました。同意書を論文査読・投稿システムからダウンロードいただき(http://ornithology.jp/osj/japanese/wabun/toko_doisho.pdf)、共著者全員による署名もしくは捺印の上、投稿原稿と一緒にPDFファイルや画像ファイルなどでお送りいただくか、郵送をお願いいたします(複数枚にわたってもかまいません)。この同意書がない投稿論文は受け付けませんので、ご留意ください。
この変更に合わせて、投稿規定の改正を行いました。「第2条 投稿資格」において、共著者の要件として「すべての共著者から、内容並びに投稿への同意が明示的に得られている必要がある」の条文を追加しました。
2.投稿の手引きに「著者の倫理的責任」を明記しました。
データのねつ造や論文の盗用などの学術論文の不正問題が次々と発覚し、研究者のモラルへの世間の目が厳しくなっています。本来あってはならないことですが、不正とは気づかずに無意識に行っていることもあるかもしれません。そこで、和文誌編集委員会では、「投稿の手引き」に「著者の倫理的責任」の項目を新たに設けて、科学規範についての記述を、下記の通り明記いたしました(10月発行の2号において、手引きの追加・修正の形で掲載し、来年4月発行の1号において改訂)。上記の共著者の同意書も、この規範に従って行うものです。一度目を通していただき、研究者としての責任を再度ご認識いただければと思います(http://ornithology.jp/osj/japanese/wabun/toko_tebiki.html#sofu)。
著者の倫理的責任
著者は、研究とその公表についての誠実性を保つために、以下の科学規範に従わなければならない。
・原稿を2つ以上の学術誌に同時に投稿しない。
・原稿はその一部または全体が、過去に出版されたものではない。ただし、以前の研究を発展させた新たな研究の場合は除く。
・投稿数を増やすために、単一の研究を複数に分割していない。
・データ(画像を含む)は、ねつ造や操作されていない。
・他人のデータや文章、学説を、盗用していない(盗用)。他の研究の引用(要約・意訳したものを含む)は明記され、逐語的な転記には引用符が用いられている。
・著作権のある資料については、使用許可が確保されている。
・投稿前に、共著者全員、場合によっては研究実施機関の責任者から、投稿への同意が明示的に得られている。
・投稿原稿に名前が掲載されるいずれの著者も、その科学的研究に対して十分に寄与しており、従って研究成果に対する連帯責任と説明責任を共有している。
3. 電子版ダウンロード制限期間を1年間に短縮します。
和文誌に掲載された論文PDFのJ-stageでの公開は、平成19年より開始されて今年で9年目になります。その間、会員の方の権利を守るために、非会員による全文ダウンロードが可能となる制限期間を発行後2年間に設定してきました。しかしながら、論文は会員に限らず非会員も含めてできるだけ多くの人に読まれてこそ、その価値が発揮されるものと考えられます。また、和文誌に掲載された論文が、他雑誌で引用される頻度が増えていくことで、知名度も向上し、会員の増加にもつながることが期待されます。このような理由より、来年の1号から、和文誌では全文ダウンロード制限期間を1年間に短縮いたします。
4. EDITOR'S CHOICEによる注目論文を毎号選定します。
来年以降に発行される和文誌掲載論文のうち、1号につき原則1編の注目論文を編集委員会の協議に基づいて選出します(あくまでも原則のため、号によっては2編選出される場合もあれば、選出なしの場合もあり)。選出論文については、鳥学通信で紹介するほか、特典として、J-stageでのダウンロード制限期間なしに公開いたします。注目論文の性質上、発行前の選出が望ましいのですが、編集・印刷スケジュールの都合もあり、当面は発行後に1ヶ月くらいかけて編集委員全員で選考していく予定です。注目論文に選出されることは、論文を投稿する者にとって励みとなると考えられ、質のより高い論文が増えていくことが期待されます。
5. J-stage公開論文の年間アクセス件数ベスト10の論文タイトルを紹介します。
編集委員会では、2年前からJ-stageでの搭載論文について、アクセスの多い国、分類群、テーマ等を集計した結果を、総会において口頭で報告してきました。それによると、毎年1万件を超えるアクセスがあり、その半分は国外からであることなどが分かりました。要旨と図表の説明を和英併記していることの効用といえます。これらの分析結果については、これまで概要しか紹介できませんでしたが、来年からは鳥学通信で前年1年分の詳細な分析結果を紹介していく予定です。さらに、アクセス上位論文ベスト10も合わせて公表して行きます。ちなみに、昨年のベスト10については、ホームページの和文誌のページで紹介していますので、関心のある方は是非ご覧になってください(http://ornithology.jp/osj/japanese/wabun/top_access.html)。
6. 受理論文は、次号掲載予定論文としてHPに掲載します。
受理された論文は、次号掲載予定論文として、ホームページの和文誌のページに直ちに紹介いたします。これによって、著者は公表の時期を知ることができ、会員は次号の内容をあらかじめ知ることができます。この試みはすでに開始していますので、関心のある方は是非ご覧になってください(http://ornithology.jp/osj/japanese/wabun/next_issue.html)。
7. 和文誌でモノグラフ掲載を再開します。
しばらくお休みしていましたが、執筆依頼によるモノグラフの掲載を再開します。モノグラフは、ある鳥もしくは一つのテーマを対象にして、著者が長年に携わってきた研究成果をまとめたものです。すでに公表されている複数論文の成果を、未発表データも含めて、一気に読むことができることで、その分類群やテーマの総説として読むことができるばかりでなく、著者の研究史としても読むことができます。再開第1号は、江口和洋氏によるカササギ研究のモノグラフで、来年中に掲載される予定です。編集委員会から執筆の依頼がありましたら、ご辞退なさらずに、研究の集大成の良い機会と捉えて、お引き受けいただけると幸いです。もちろん、自主投稿も大歓迎です。
8. 投稿論文の統計については、専門の編集委員がチェックしています。
近年の統計分析方法の進展はめざましいものがあり、査読者だけではチェックできないものが増えてきています。そのため、統計の分析結果については、専門の編集委員が、査読者とは別に2年前からチェックを行っています。このプロセスによって、和文誌掲載論文の統計分析の甘さについては、解消されてきています。ただし、このことは統計分析が不十分でも投稿できることを意味している訳ではありません。逆に、統計分析の内容次第でリジェクトされる可能性が高まったということができます。論文投稿の際には、統計分析を適切な方法で誤りなく行っていただくようお願いいたします。
9. 大会時にも論文作成相談を行っています。
編集委員会では、周囲に論文作成の指導をしてくれる人がいない会員の方を対象にして、和文誌への投稿を条件に、論文作成相談を行っています。しかしながら、利用しづらかったのか、十分に活用されてきていませんでした。そこで、2年前から大会前に案内をして、大会時に担当の編集委員と直接会って相談を行う機会を設けました。その結果、すでに3編の論文が投稿され掲載されています。現在も2編の論文が進行中です。相談の依頼は、もちろん大会時でなくてもかまいません。研究成果をまとめて論文にしたいけど、相談する人がいなくて困っている会員の方、編集委員が懇切丁寧に指導いたしますので、遠慮なくご利用ください。
最近,鳥が増えたり,減ったりといった変化を感じることありませんか? 日本鳥学会誌にも八ヶ岳でジョウビタキの繁殖が定着していること,スズメの減少など鳥の生息状況の変化について報告した論文が掲載されています。
地域の鳥の変化については,いろいろな研究がされていますが,全国的な鳥の分布の変化を示した唯一の情報が環境省が行なった鳥類繁殖分布調査です。この調査は1970年代と1990年代に行なわれ,アカモズやチゴモズ,ヨタカやシロチドリなどがレッドリストに選定されることにつながりました。またこのデータは研究の上でも重要な情報で,日本で減少している鳥の特性の解析(Amano & Yamaura 2007),土地利用が鳥へ及ぼす影響(Yamaura et al 2009)などこの情報を使って書かれた論文がいくつもあります。
1990年代に行なわれた最後の調査から,もう20年が経とうとしています。その間に,外来鳥の増加や,シカの増加による植生の変化,震災の影響など,鳥の状況には変化がおきていそうです。そろそろ3回目の全国調査が必要です。しかし,残念なことに,これまで調査を行なってきた環境省には,もうそれを行なう体力がないそうです。
では,どうするのか? 「みんなでやるしかないでしょ」ということで,NGO,省庁,大学,地方の研究機関,野鳥関係団体の合同調査として,第3回目の全国鳥類繁殖分布調査を実施しようと準備をはじめました。
期間は来年2016年から5年間。全国に約2,300あるコースでの現地調査や任意定点調査,アンケート調査の結果をまとめて日本で繁殖している鳥の分布図を描きます。
この調査に皆さんも参加しませんか? 現地調査を担当していただくのも歓迎ですし「この種は任せて」ということで種の情報収集やとりまとめを担当いただくのも歓迎です。また,解析WGグループというのもつくっていますので,調査全体の解析に係わりたいという方も歓迎いたします。
詳細は,全国鳥類繁殖分布調査のホームページをご覧ください。現地調査への参加はホームページから参加登録いただき,取りまとめに係わりたいという場合は,植田まで直接お問い合わせください。
皆様のご参加,お待ちしています。
主催団体:バードリサーチ,日本野鳥の会,日本自然保護協会,日本鳥類標識協会,山階鳥類研究所,環境省 生物多様性センター