鳥の位置情報を記録するのに便利なスマホアプリ

広報委員 三上修

調査をするのはいいけれど、それをデータとして起こすのはなかなか気が重い作業です。私も、録音したものや、録画したもの、紙に記録したものがたまりがちです。

以前よりも楽ができることは増えています。たとえばICレコーダーで記録した音声を文字起こしソフトを使って書き出すとか、録画した画像を動きのあるところだけ抽出するとか。

ですが、なかなかそれができなかったのが、地図上に記録をしたものです。たとえば、観察した鳥や巣の位置を地図に記録したものです。

鳥の位置情報アプリ紹介サムネイル.png

どうにかできないかと、これまでいろいろなアプリを試してみたのですが、どうも自分のやりたいことができるものがなく、結局、野外で紙に記録して、それを持ち帰ってからパソコンに入力していました。何人か同じようなことをしている知人に相談したこともあるのですが、結局、みな紙に記入して、それをPCに入力するとのことでした。

しかし、今回紹介するスーパー地形というアプリは、良い機能がどんどん追加され、今のところ私のやりたいことが全部できるアプリになってくれています。

このアプリで何ができるかを話すために、仮に、都市部でカラスの巣の調査しているとします。これまでであれば、事前に調査する場所の調査地図を印刷し、現地に行ってその地図に記入し、巣の写真を撮っていました。そして後で、調査結果をパソコンに入力し、写真については何らかの方法で紐づけておかなければなりませんでした。これが面倒なのです。

しかし、今はスマホを持って行って、
 ・スーパー地形を起動
 ・地図上の場所をタップして、ポイントを記録する
 ・備考欄に、ハシボソガラスの巣 マツの木、と記入
 ・スマホで写真を撮る
これで、終わりです。

つまり、調査日(時刻)、位置、メモ、写真すべて一括で管理できるのです。そしてそれを保存用に外部に出力してPCで管理できます。ArcGISやGoogle Earth Proなどに表示することもできます。

もし複数の調査項目を記入したい場合は、備考欄に、項目ごとにスペースか何かで区切って記入すれば解決です。たとえば、先ほどのカラスの巣について、種、樹種、高さ、巣材、繁殖ステージの5項目について書くのであれば「ボソ マツ 15 人工物あり ヒナあり」とでも書いておいて、あとでエクセルか何かで取り込んでスペースごとにセルを分割してしまえばよいのです(gpxファイルをエクセルで無理矢理開いてしまい、スペースでデータを区切り複数のセルに分割する、など)。

データが一括管理できたり、PCへの入力の手間が省けるのはもちろんですが、このアプリを使ってみてよかったなと思うことが他にもあります。
 1.事前に調査地図や調査用紙を作る必要がない
 2.現在位置が分かるので、初めての場所でも迷わず記入できる
 3.天候が悪くても使える

3は思ったよりも便利でした。霧とか朝露で調査用紙がぐしゃぐしゃになった経験があるかと思いますが、そういうことを気にせずできます。

オフラインでも使えますので通信料の心配もいりません。ただし、オフラインの場合は、事前にネット環境下で、調査地する場所の地図を一度眺めておく必要があります。そうするとオフラインにしても地図が残っているので、それが表示されます。

私の場合は、電池の消耗を避けるためもあって、野外ではオフラインで調査をして、Wi-Fi環境のある場所に行ってから取ったデータをGoogle Driveに保存しています。これは写真があるからで、写真がなければファイルサイズは軽いので100地点の記録でも0.1 MBくらいですから通信料もほとんどかかりません。なおデータを掃き出す際のファイル形式は汎用性のあるものなので、万が一に、このアプリのサービスが終わっても問題ありません。

スマホの画面や文字が小さくてつらいという方もいるでしょう。私もアラフィフなので、老眼が少し入ってきました。そういう方はモバイル通信機能のないAndroidタブレットやiPadでもいけます。

問題はお値段ですが、なんと必要な機能は無料で使えてしまいます。ルートセンサスくらいならば無料でも問題ありません。ただし、有料のほうが制限なく使えてストレスがありません。しかも960円で買い切りです(毎年960円ではなくて1回課金すればよいだけです)。それに課金をすることで、アプリ製作者の方を応援することにもなります。もっと改善してくれるかもしれません。

授業でも使えるかもしれません。野外実習などで、それぞれ学生が撮影した動植物の写真を全体で一つの地図に表示したりすることもできるでしょう。いろいろ楽しみが多いアプリです。

紙での記入のほうが早くて便利な場面ももちろんあるので、結局は使い分けです。ですが、自分の記録方法に合うか、まずはお試しになってみてはどうでしょうか?

なお、普通にバードウォッチングの記録をしたりする場合は、バードリサーチが提供してくれているフィールドノートも便利です。

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