11月11日は電柱の日?
1年ほど前になりますが、電柱鳥類学という本を出しました。
その本を、なぜ今頃になって紹介するかと言えば、理由は大きく2つあります。
1つは、鳥学通信は「ひと月に二報」を目指しているのですが、今月は今のところ記事が無いため、広報委員である私が自作自演(!?)をするためです。
もう1つは、今日はこの本を紹介するのにふさわしい日だからです。そう、タイトルにもあるように本日11月11日は電柱の日なのです(※厳密には、そのように一部界隈で言われているだけで、誰かが制定したわけではないようです)。
11月11日は、1が並ぶため、他にもたくさんの「〇〇の日」があります。ポッキーの日だったり、チンアナゴの日だったり、きりたんぽの日だったり。まあでも、一番ふさわしいのは電柱の日でしょう。
さて、電柱鳥類学とは聞きなれない言葉ですが、何かといえば、当然ながら電柱と鳥の関係を解明する学問分野として、私が勝手につけたものです。そんなの勝手につけていいのかと怒られそうですが、道路とそれにかかわる生物との関係を研究する道路生態学(Road ecology)なども、ある研究者が勝手につけて、いつの間にか定着してしまっています。
電柱およびそれに架かっている電線と、鳥との関わりだって、割と深いのです。森林に生息する鳥にとって、木々は、止まり木であり、営巣場所であり、索餌場所になります。一方、都市に進出した鳥たちにとっては、電柱電線が同じ役割をします。都市にいる鳥は、電柱電線に止まり、巣を作り、餌を探す場所として利用するのです。森林において、木と鳥の関係を研究する意味があるのであれば、電柱と鳥の関係だって研究したって良いではないですか。
確かに、誰かに「こんなものを研究として扱ってよいのか!?」と問われれば、正直、私も「こんな研究でいいのでしょうか?」と伏し目がちに問い返さなければならないくらいの自信しかありません。まあでも基礎研究は、究極的には面白いかどうか(知的好奇心を満たすかどうか)なので、自分が面白いと思ったらやればいいのだと思います。
それに、この研究は今しかできません。おそらく将来的に電柱電線は地中化されます。となると、我々は、電線に止まっている鳥を観察できる貴重な時代を生きていることになります。
というわけで、お散歩ついでに電線に止まっている鳥を目に焼き付けてみていはいかがでしょうか?