(仮称)苫東厚真風力発電事業計画への対応をめぐって(上)

武石全慈(鳥類保護委員会委員長)

1. はじめに
 日本鳥学会2021年度書面総会に議案として提出された「(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する事業中止要望書」は、有効表決者の方々の圧倒的多数の賛成を得て、2021年10月22日付で可決されました。この案件につきまして、それまでの経緯や現地視察、その後の記者発表の様子などについて、広報委員会から鳥学通信への寄稿を依頼されました。この要望書は環境影響評価方法書(2021年2月発行)の提示後の段階で決議されたもので、今後もこの案件については関わっていくことになりますので、ご参考までに備忘録も兼ねて記してみます。
 日本鳥学会からの他の風力発電事業案件に対する要望書については、これまでに鳥類保護委員長名で3件が発出されています。それらは、北海道北部地域(2017年7月)、岩手県北上高地(2017年7月)、秋田県由利本荘市沖(2020年2・3月)での事業に対するもので、関係する官庁(経済産業省・環境省)と自治体(北海道・岩手県・秋田県)に向けて発出されました(鳥類保護委員会ウェブサイト参照)。内容は、バードストライク、障壁影響による飛行経路変更、生息地放棄に関して、複数事業による累積的影響の観点も含めて、適切かつ十分な調査と予防原則に基づく評価を行ない、立地選定や事業規模の見直しも含めた影響の回避・低減策を講ずることや定量的な事後調査を実施するよう、事業者への指導を要望するものでした。
 これに対して、今回決議された要望書は、日本鳥学会長名で事業者のDaigasガスアンドパワーソリューション(株)に事業の中止を要望したもので、2021年11月25日付で発出され(郵送)、その写しは親会社の大阪ガス(株)、環境大臣、経済産業大臣、北海道知事、苫小牧市長、厚真町長にも郵送しました。鳥類保護委員会ウェブサイトには、重要種の繁殖位置を示す図を削除した形の要望書を掲載しています。

浜厚真湿地:2021年6月17日、厚真町浜厚真地区、武石撮影.jpg

写真1 計画地内の厚真町浜厚真地区の海岸部に広がる湿地 2021年6月17日 武石撮影

2. 配慮書段階
 本事業については、その計画段階環境配慮書の縦覧が2020年5月26日から開始されましたが(縦覧期間1ヶ月、意見書提出締切6月26日)、6月上旬までに鳥学会員2名から別々に鳥類保護委員長あてに、意見書提出の要望が寄せられました。本事業計画地内の砂丘の湿地では2017年にタンチョウが繁殖し、道央地区では貴重なタンチョウ繁殖地が風車建設により失われる恐れがあること、計画地とその隣接地にある湿地や草地にはチュウヒや他の希少鳥類が数多く生息すること、また周辺の牧草地や遊休地はウトナイ湖等に集結するハクチョウ類・ガン類の餌場であり大きな影響の発生が懸念されるなどの理由からでした。
 本事業は、事業実施想定区域が北海道厚真町及び苫小牧市の海岸部に位置し、単機出力3,400〜4,300kW(最大高145〜191m、ローター直径120〜142m)の風車を10基程度設置する陸上風力発電施設の建設計画で、総発電出力が最大38,000kWとなっています。風車の全ては厚真川河口付近の両岸の厚真町内に設置され、苫小牧市域には送電・変電設備だけが設置されます。風車設置区域は約332.1ha、それ以外は約232.6haを占めるとのことでした。
 配慮書では、重要鳥類に対して、「生息環境の変化に伴う影響が生じる可能性」と「施設の稼働に伴うバードストライク等の重大な環境影響を受ける可能性があると予測した」が、「事業実施想定区域を可能な限り絞り込む時点で重要野鳥生息地(IBA)及び生物多様性の保全の鍵になる重要な地域(KBA)を除外したことにより、現段階では、重大な影響が、実行可能な範囲内でできる限り回避、又は低減されていると評価する」としていました。
 これに対して鳥類保護委員会で検討した結果、計画の中止や再考を求める上では、配慮書に対する意見としてではなく、計画そのものに対する意見書という形で事業者に提出する方が妥当であろうと判断し、委員を中心に意見書を作成しました。その後、提出までに時間を要し、2020年11月1日付の鳥類保護委員長名で、風車の建設計画を中止も含めて全面的に再考するよう要望する「(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する意見書」を事業者へ郵送にて提出しました。

タンチョウ20210615苫小牧市弁天.jpg

写真2 計画地周辺の苫小牧市弁天で観察されたタンチョウ 2021年6月15日 武石撮影

3. 事業者との意見交換会
 この意見書には回答を要請する一文も含めていたところ、事業者から意見書の趣旨を確認したく意見交換を行いたい旨の申し出があり、2021年3月12日に鳥類保護委員6名と事業者・親会社・調査委託会社の4名とで、Zoomによる意見交換会を行ないました。この時点では、本事業のアセスメント過程は方法書の段階に移っていて、その縦覧期間と意見書提出期間(2021年2月1日~3月26日)の時期にあたっていて、事業計画の内容はいくらか変更されていました。
 方法書では、風車設置区域については、厚真川西岸側での「植生自然度が高いヨシ群落及び湿地環境」が除かれていて、東岸側では住宅周辺と海浜汀線部が除かれ、その面積が約332.1haから約150.4haへと半減していました。しかし、上記の意見書で指摘していた2017年にタンチョウが繁殖した東岸側海浜砂丘内のヨシ等の湿地帯全域は風車設置区域内に含まれたままでした。後述するように、この湿地帯では2021年に再びタンチョウの1つがいが繁殖してひな2羽を育てる事に成功しました(日本野鳥の会苫小牧支部報No.238)。なお、変電所・送電線等の用地は、約232.6haから約301.8haに増加していましたが、風車の規模は変更ありませんでした。
 3月12日の事業者側との意見交換会では、保護委員会側からは、意見書内容の繰り返しになりますが、(1)本事業計画地は、ラムサール条約登録湿地、IBAs、KBAに隣接し、環境省センシティビティマップのA3メッシュに含まれ、一体として希少鳥類を中心とした野生動植物の重要な生息・生育地となっていること、(2)計画地及び隣接地は、重要種のタンチョウ、チュウヒ、オジロワシ・オオワシ、ガン類・ハクチョウ類やオオジシギなどの草原性の鳥類種群によって、繁殖、越冬、渡り時の通過の際に利用されていることから、風車の設置・稼働がこれらに対して、繁殖地放棄、繁殖成功率低下、生息地放棄、バードストライクなどの影響を与えることが懸念され、中止も含めて再考するよう主張しました。また調査方法についても、渡りのピーク時期、気象条件、レーダーの導入、大型鳥類の個体別飛翔追跡などを考慮するよう要望しました。事業者側からは、配慮書、方法書へとアセスメント過程を進めているが、予定通りに事業を実施することを現時点では必ずしも決めてはいないので、調査の結果を得てから、その時点での状況も踏まえて、事業の実施について判断したいとのことでした。
(注)計画地内の海岸砂丘部の浜厚真で確認された鳥類リストについては、「浜厚真の鳥類〜浜厚真Bioblitz2021報告〜」を参照下さい。

オオジシギ20210617厚真町浜厚真.jpg

写真3 計画地内の厚真町浜厚真で観察されたオオジシギ 2021年6月17日 武石撮影

(続く)

※訂正(2022年3月28日更新)※
1)「3. 事業者との意見交換会」の1段落目において意見交換会の行われた時期について「縦覧期間(2021年2月1日~3月4日)は既に終わり、意見書提出期間(2021年2月1日~3月19日)の時期にあたっていて」と説明しておりましたが,正しくは「縦覧期間と意見書提出期間(2021年2月1日~3月26日)の時期にあたっていて」でしたので訂正いたしました。新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の影響で、当初の公示期間が訂正した期間に変更になっていました。
2)「写真2」の説明で、撮影地が「計画地内の」となっておりましたが「計画地周辺の」に訂正いたしました。

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津戸基金によるシンポジウム助成の公募(締め切り迫る)

日本鳥学会基金運営委員会

 学会では、2019年8月から2020年3月の間に国内で開催される鳥学に関するシンポジウムを対象に助成を行ないます。
 審査の結果、採択されると、会員津戸英守氏の寄付に基づく津戸基金より最大10万円の助成を受けることができます。
 応募の締め切りは5月31日(必着)です。シンポジウム開催を考えている会員の皆様、どうぞふるってご応募下さい。

 詳しくは、公募情報をご覧下さい。

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津戸基金によるシンポジウムの公募が始まりました

日本鳥学会基金運営委員会

 学会では、2019年8月から2020年3月の間に国内で開催される鳥学に関するシンポジウムを対象に助成を行ないます。
 審査の結果、採択されると、会員津戸英守氏の寄付に基づく津戸基金より最大10万円の助成を受けることができます。ふるってご応募下さい。

 詳しくは、公募情報をご覧下さい。

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2018年度学会賞 応募締め切り迫る!

基金運営委員会

以下の3つの学会賞の応募は、3月30日(金)で締め切られます。
自薦・他薦いずれも可能です。ぜひ、積極的にご応募下さい。

・内田奨学賞:アマチュアの会員を励ます賞。過去3年間に発表した論文から審査。
・黒田賞:優れた業績を挙げ、これからの日本の鳥類学を担う若手・中堅会員に授ける賞。
・中村司奨励賞:2018年度新設。国際誌に優れた論文(1編)を発表した30歳以下の若手会員に授ける賞。

いずれの賞についても、対象者、応募方法等の詳細は、日本鳥学会誌66巻2号の学会記事、あるいは学会Webサイト(http://ornithology.jp/)の「学会賞・助成」に掲載された募集要項をご覧下さい。

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無意識のバイアスーUnconscious Biasーを意識してみませんか

企画委員会(文責:藤原宏子)

 日本鳥学会2017年度大会(筑波大学)の受付近くに、「無意識のバイアスーUnconscious Biasーを知っていますか?」というタイトルのリーフレットが置かれていました。この質問に対する皆さんのお答えはどうでしょうか?この質問へのお答えが「いいえ」だとしても、働き方についての昨今のキーワードである「ダイバーシティ推進」ならば、「はい、知っています」とお答えになる方も多いかもしれません。
企業や大学において、女性をはじめ多様な人々が能力を発揮し共に働くことを推進していこうという動きがみられます。ダイバーシティを推進している組織は活力があり、強いともいわれています。そのダイバーシティ推進において、今、「無意識のバイアス(unconscious bias)」が注目されています。大会の受付近くに置かれていたリーフレットは、男女共同参画学協会連絡会が2017年に作成したもので、連絡会のホームページ上でも見ることができます(http://www.djrenrakukai.org)。
「無意識のバイアス」は鳥の研究に直接は関係しないかもしれません。けれども、長い目でみると、「無意識のバイアス」や「ダイバーシティ推進」に目を向けることは、鳥研究そのものを発展させ、日本鳥学会に有益なことなのだろうと思っています。

無意識のバイアスとは
 「女性は理系より文系が得意だと思う」など、人はそれぞれ何らかの偏見(バイアス)をもっています。このように、誰もが潜在的にもっている偏見を「無意識のバイアス」といいます。無意識のバイアスにはいくつかのカテゴリーがありますが、その一例として、リーフレットには次のような説明があります。

「ある属性(ジェンダー、職業、学歴、人種等)に基づいて人々を集団に分け、各集団の代表的な特徴(例えば、科学に強い・弱い、信用できる・できない等)を想定し、そこに属するメンバーは誰もがその特徴をもつと短絡的に判断してしまうことです。」

「無意識のバイアス」に関する研究
 社会科学や認知科学等の分野では、「無意識のバイアス」に関する実験研究や調査研究が行われてきました。リーフレットでは、このような研究も紹介されています。ここでは、その中の2つだけを簡単にご紹介しましょう。

人種についてのバイアス:雇用主が、同じ内容で写真がない履歴書による書類審査を行い、面接試験を行う人を選ぶ場合、履歴書の名前がアフリカ系アメリカ人の名前(ラキーシャやジャーマル)よりも白人の名前(エミリーやグレッグ)のほうを優先的に選ぶという結果がでています。

母親についてのバイアス: 「Getting a Job: Is There a Motherhood Penalty?」と題する論文があります(S.J. Correll, et al., 2007, Am. J. Sociology, 112, 1297-1338)。能力、学歴、職歴が同じレベルで、子どもの有無だけが違う採用候補者の男女に対する評価を、雇用主(研究協力者)にしてもらったところ、「母親だから」とみなす「無意識のバイアス」の存在が明らかになったのです。子どものいる女性は、男性や子どものいない女性に比べ低く評価され、初任給の額も低く見積もられました。

「無意識のバイアス」と上手く付き合おう
 「アフリカ系アメリカ人は~~だ」、「母親は~~だ」という「無意識のバイアス」は、雇用主の行動に影響を及ぼすことをご紹介しました。さらに、このバイアスを彼女たちがもつことにより自身の行動を縛ることになる可能性もあります。バイアスを持つこと自体は、人間にとって自然なことでしょう。経験に基づいて獲得された「無意識なバイアス」は、各個人が自分にとって有利な判断を素早く行う際の助けになっていると考えられます。しかし、バイアスのせいで、より良い選択肢を見逃している可能性もあります。実際の能力に見合った評価がされないことで、人材の多様化が進まず、組織やコミュニティにもマイナスとなるでしょう。「〇〇は~~だ」で終わらせずに、もっとじっくりと相手や自分自身について細かく情報を吟味することで、より良い判断をすることができると考えられます。 皆さんはどう思いますか?

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第27回国際鳥類会議(IOC2018)の参加補助金を募集しています!

基金運営委員会

 2018年8月にカナダ,バンクーバーで開催される第27回国際鳥類会議(IOC2018)の参加登録が始まりました。日本鳥学会では、研究発表をする若手会員に補助金を交付します。補助金交付を希望される方は下記のウェッブサイトや和文誌にある要項に従い、ふるってご応募下さい。

伊藤基金によるIOC参加補助金の申請募集
 ウェッブサイト:http://ornithology.jp/iinkai/kikin/prizes.html#ito
 和文誌:66巻1号(2017年4月)学会記事

なお、補助金申請の締切は2017年12月28日(必着)、IOCへの要旨提出締切は2018年1月31日です。
お間違えのないようお申し込み下さい。

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2018年度学会賞募集のお知らせ

日本鳥学会では内田奨学賞、黒田賞を設けていますが、来年度からこれに中村司奨励賞が加わります。この度、この3つの学会賞の募集が始まりました。

・内田奨学賞:アマチュアの会員を励ます賞。過去3年間に発表した論文から審査。
・黒田賞:優れた業績を挙げ、これからの日本の鳥類学を担う若手・中堅会員に授ける賞。
・中村司奨励賞(新賞):国際誌に優れた論文(1編)を発表した30歳以下の若手会員に授ける賞。

いずれの賞についても、対象者、応募方法等の詳細は、日本鳥学会誌66巻2号の学会記事、あるいは学会Webサイト(http://ornithology.jp/)の「学会賞・助成」に掲載された募集要項をご覧下さい。

ぜひ、積極的な応募、あるいは推薦をお願い致します。

また、2018年にカナダで開催される国際鳥類学会議(IOC2018)に参加、発表する若手会員に対する補助金の申請も募集しています。日本鳥学会誌66巻1号、学会Webサイトを参照の上、こちらにも積極的に応募して下さい。

基金運営委員会

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未来の学会のためにぜひ! 10月28日(金)まで延長 男女共同参画大規模アンケート

日本鳥学会会員のみなさまへ

2016年10月19日
企画委員会

10月8日(土)より始まった、男女共同参画学協会連絡会の第4回大規模アンケートの回答状況があまり芳しくないようです。前回の第3回大規模アンケートでは、生態学会、進化学会、動物学会、種生物学会等の自然史系学会の回答率が20%を超える中、鳥学会の回答率は8%でした。

この大規模アンケートの結果は、みなさまを含め、研究に関わる方々がよりよく研究生活を送るための施策のベースとなります。多くの回答を得るため、大規模アンケートの回答期限は10月28日まで延長されましたので、お知らせいたします。

回答は下記の男女共同参画学協会連絡会のホームページ 上で行えます。
http://www.djrenrakukai.org/

回答期限:10月28日(金)
鳥学会員のみなさまには、どうか積極的なご協力をお願い致します。

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写真好きの研究者に朗報  自分の論文の掲載された学会誌の表紙を自分の写真で飾りませんか?

2016年10月11日
日本鳥学会誌編集委員会 植田睦之

デジカメで手軽に写真が撮れるようになり,研究の合間に鳥の撮影を楽しんでいる方も多いのではないのでしょうか? そんな写真で学会誌の表紙を飾りませんか?

最近の和文誌は,表紙写真を掲載論文に関係するものにしよう,と,編集サイドで表紙写真を探して掲載することが多くなっています。でも,自分の論文が掲載された学会誌の表紙写真も自分の写真だったら,ちょっとうれしいですよね。
そこで,論文の投稿時に表紙写真もあわせて投稿できるようにしました。

いい写真をお持ちで,論文をどこに投稿しようか迷っている方,ぜひ表紙写真とともに日本鳥学会誌へ投稿ください。投稿お待ちしています。
 
ただ,1つの号にはたくさんの論文が掲載されますが,表紙は1つ。複数の表紙写真希望者がいた場合は,希望されても表紙写真として掲載できない可能性があります。表紙掲載の可否については,入稿時に印刷幹事から連絡させていただきますので,その点はご了承ください。

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ボランティアのススメ

2016年7月11日
日本鳥学会企画委員会 佐藤望

 企画委員では鳥学研究の促進を目的として、鳥類調査に関するボランティア募集の情報を収集し鳥学会のHPで公開しています。
http://ornithology.jp/volunteer.html
まだ始めたばかりの企画なのでご存じでない方もいらっしゃると思いますが、全国で調査を経験する事ができる場所を掲載しています。

この活動を始めた背景には、鳥の研究に興味があっても研究できる研究室や調査をする場所がなかなか見つからないといった状況があります。また、卒業研究で鳥類の研究をしたいと思っても、限られた期間のなかで一人で調査を0から覚えて実行するのはなかなか簡単ではありません。このような状況下にある鳥の研究を志す人にとって、ボランティアとして野外の鳥類調査に参加することは大きな意味があります。また、所属した研究室が鳥類の研究をしていない場合でも、調査地があってテーマがあれば、鳥類をテーマに卒業研究ができるかもしれません。

私はニューカレドニアなどで鳥類の野外調査をしてきましたが、その間、国内外の学生が参加してくれました。一部の国ではインターンとして海外の調査を経験することが博士課程に進学するために必要らしく、欧州や南米から問い合わせが来て、実際に何人かの学生を受け入れました。彼らは調査に参加することで調査能力や研究の方法を習得できたと思いますが、それだけではなく、毎日の生活の中で多くの議論をすることで受け入れた側にも新しい発見やモチベーションの向上などがありました。

鳥学用.jpg
ドイツからニューカレドニアにインターンで手伝いに来てくれました(著者は向かって右)

海外の若手研究者に負けないよう、特に日本の若手の皆さんにも是非このような場所に飛び込んでもらえればと考えています。もちろん、もう若手じゃない…という人も、きっと受け入れてくれると思いますので、老若男女問わず、積極的にこのボランティア募集情報を活用してもらえればと思います。

また、全国で鳥の調査をしている皆さま、ボランティアを受け入れてはいかがでしょうか。受け入れが可能であれば、佐藤(nozomu ATMARK liferbird.com)まで連絡を頂ければ幸いです。

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