Rで描く地域メッシュを使った分布図
上沖正欣(広報委員・日本野鳥の会愛媛)
これまで鳥学通信や鳥の学校では、Rを使った解析方法を紹介してきました。
- 統計言語Rで一般化線型モデル解析 ー鳥屋にやさしい統計のお勉強ー
- 実践 “R” 統計学:Dos & Don’ts と一般化線形混合モデル
- 統計モデルによるデータ解析入門:線形モデルとモデル選択
- 上記スライドPDFまとめ(田中啓太氏のウェブサイト)
統計解析ツールとしてのイメージが強いRですが、作図ツールとしても便利です。今回はRで下図のような地図を描く方法を紹介します。
現在、鳥学会では日本鳥類目録8版の出版を目指していますが、私の所属している野鳥の会愛媛でも愛媛県鳥類目録を作成中です。会員から50年近く収集している野鳥情報が18万件ほどあり、3次メッシュを利用して記録を収集していたため、このデータを何とか活用できないかと考えました。
10年ほど前に調べた時にはRで地域メッシュを描画するには沢山コードを書かねばならず、GISでも操作が煩雑で、面倒臭がりの私はすぐ挫折してしまった記憶があります。しかし、2017年にjpmeshという便利なパッケージが公開され、簡単に地域メッシュをRで描けるようになりました(改良版のjpgridもあります)。
日本野鳥の会愛媛のウェブサイトにRで地域メッシュの地図を描く方法を公開したので、参考にしてみてください。統計知識不要、コピペして実行するだけで勝手にRが地図を描いてくれるので、Rはなんだかとっつきにくくて使ったことがない・・・という人がRを使うきっかけになれば幸いです。全国鳥類繁殖分布調査のデータも、メッシュデータが公開されているので(植田ら 2021)、このコードを少し改変すれば、調査報告書にあるような分布図を自分でも描けるようになります。
- Rを使って鳥類などの分布図を作成する(その1:緯度経度と市町村別マップ)
- Rを使って鳥類などの分布図を作成する(その2:地域メッシュと年別マップ)
- Rを使って鳥類などの分布図を作成する(その3:複数ページの一括出力)
- サンプルデータとまとめコード(GitHub)
もしRでエラーが出たら、今話題のChatGPTやGoogle GeminiなどのAIに何が原因か聞いてみてください。きっと的確に、そして親切にどこを修正すべきか教えてくれます(ネット上の膨大な情報を自分で探さなくてよいので、大学院でプログラミングの課題をこなしていた時に随分お世話になったQ&AサイトのStack Overflowはすっかり使用頻度が減ってしまいました・・・勿論AIの情報を過信してはいけませんが、本当に便利な時代になったものです)。
私自身Rを使いこなしている訳ではないので、もっとこうしたほうが良い、というコメントがあれば、是非 koho [at] ornithology.jp までお願いします。その他、研究に役立つコードやソフトウェア・調査道具の情報もお待ちしています。